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W杯決勝担当の女子サッカー主審、ウクライナを逃れ伊セリエAで再出発「みんなが助けてくれた」

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ウクライナ人のカテルィーナ・モンズール主審

 ウクライナ人のカテルィーナ・モンズール主審が、避難先のイタリアでセリエA女子の公式戦で笛を吹き、イタリアメディア『スカイスポーツ』のインタビューで現在の心境を語った。

 モンズール主審は、ウクライナ東部のハリコフ(ハルキウ)出身の41歳。2007年に女子ワールドカップ欧州予選のフィンランド対ポーランド戦においてヨーロッパの舞台でデビューを飾ると、着実にキャリアを積み、2013年には欧州女子選手権の準決勝で笛を吹いた。翌年には女子チャンピオンズリーグ決勝を担当したほか、2015年には女子ワールドカップ決勝のアメリカ対日本(アメリカが5-2で勝利)を裁いており、女子サッカー界最高峰の主審の1人として知られている。

 だが、そんなウクライナ人主審の生活は2月24日以降、一変してしまった。ロシアによる軍事侵攻から逃れるため、パートナーをウクライナの地に残し、妹ら親族とともに国外へと脱出。主審としてのキャリアを一度はあきらめかけたが、UEFA(欧州サッカー連盟)審判委員会のロベルト・ロゼッティ会長やウクライナおよびイタリア両国のサッカー連盟などのサポートを受け、避難先のイタリアで主審として再出発を果たした。モンズール主審は20日、セリエA女子第17節のインテル対サンプドリア(インテルが4-3で勝利)でピッチに復帰。90分間、笛を吹いた。

「ピッチへ戻ったことで、ここ数週間に体験したことから離れて普通の生活へ戻ったように感じた。しかし私の心は、ウクライナに残る家族や友人とともにある。ウクライナ、モルドバ、ルーマニア、ハンガリー。スロバキア、チェコ、ドイツと渡り歩いたが、決して孤独に感じたことはなかった。みんなが私を助けようとしてくれて、こんなことは想像していなかった。このような状況から逃れるとき、通常の判断ができなくなってしまうものだが、審判団という大家族が私を支えてくれた」

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