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“右”徹底マークは脅威の証…伊東純也「薫が1対1を仕掛けたら対応できないと思った」

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日本代表MF伊東純也(ゲンク)

[3.24 W杯最終予選 日本2-0オーストラリア シドニー]

 オーストラリアが見せた極端な警戒体制は、日本代表MF伊東純也(ゲンク)がこの最終予選で残してきたインパクトの大きさを感じさせた。「相手がなるべく(吉田)麻也くんを左サイドに追いやる動きでプレッシャーをかけていたし、こっちにボールが来ないようにというのを感じていた」。そうした中でも相手守備陣に的確にダメージを与え続けて90分間フルタイム出場。最終予選突破を牽引し続けた29歳は試合後、「やっと決めることができて嬉しいけど、嬉しいというよりホッとしている」と笑顔を見せた。

 最終予選突破のために勝利が必要なオーストラリアはこの日、左右のバランスを大きく崩した布陣で日本を迎え撃った。左サイドの大外に張り出すDF長友佑都(FC東京)をあえておびき出し、その裏を突くカウンター攻撃を狙った一方、本来であれば右サイドで1対1の状況を作りたい伊東には密集を作って対応。ここまで最終予選で4試合連続ゴール中で、全得点に絡んでいるウインガーの持ち味を発揮させないようにしていた。

 それでも伊東は限られたチャンスの中で、攻撃のアイデアを模索していた。「何回かボール受けた時には、縦を切られてもワンツーで入って行ったり、モリ(守田英正)が抜けたところにスルーパスを出したりと、少しできていたかなというのがある」。DF山根視来(川崎F)、MF田中碧(デュッセルドルフ)、MF守田英正(サンタクララ)との連係で何度もサイドを崩し切り、MF南野拓実(リバプール)の度重なるチャンスを演出した。

 そうした存在感が左サイドで躍動したMF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)の大活躍をもたらした。「あの時間帯に薫が1対1で仕掛けたら全部抜けると思うし、こっちに人数をかけていたぶん左サイドはフリーだったので、薫が1対1を仕掛けたら対応できないと思った。1対1になれば薫を止めるのは難しい」。自身がマークを引きつけていたぶん、左ウイングが活きるビジョンを持っていたようだ。

 また伊東が際立っているのは、90分間にわたってパフォーマンスを維持しているところだ。この日は前線選手では最多となる最終予選4度目のフル出場。「自分の特長として攻守の切り替えや攻守に走るところは持ち味でもあるので、たとえボールが受けられなくても切り替え、相手にプレッシャーをかけられればと思っている、90分間やり続けようとしているし、それを出せた試合はあった」。そう手応えを語った伊東は「チームでもほとんど90分出ていて、90分やれる体力はあると思っている。監督が代えないで使ってくれているのは信頼してもらえているということだと思う。サボって走らなかったらダメだと思うので、そこは最後まで出し切りたい」と自信を示した。

 この活躍を続けていけば、W杯本大会でも大きな武器になるのは間違いない。だが、伊東自身に慢心した様子はない。「まだW杯出場が決まっただけで選ばれるとは決まっていないので、みんなが切磋琢磨してやっていかないといけない」。あらためてレギュラー争いへの意気込みを示した背番号14は「W杯まで時間も少なくて、合わせる時間もそんなにないので、おのおの成長するのが大事。個人の成長をしっかりして、集まった時にしっかり合わせていければ」と地に足をつけ、さらなるレベルアップを遂げていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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