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[MOM3786]徳島ユースMF新田洸成(新3年)_クラブ愛にあふれた“新米”左サイドバックは、「目の前の1試合1試合に死ぬ気で立ち向かう」

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徳島ヴォルティスユースの新・左サイドバック、MF新田洸成

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.26 船橋招待U-18大会 千葉U-18 1-1 徳島ユース]

 今年でアカデミーに入って6年目。毎試合のようにトップチームの試合もスタンドから見つめているだけに、このクラブへの愛着は年々強くなっている。だからこそ、もっと多くの人にその素晴らしさを知ってもらいたい。トップはもちろん、アカデミーのことだって。

「自分たちが育成年代でも全国大会で勝ち上がっていくレベルになって、もっとヴォルティスという名前を知ってもらえるようにしたいと思います。プリンスリーグでは、全勝してプレミア参入戦に臨む気持ちで、目の前の1試合1試合にチーム全体で、死ぬ気で立ち向かいたいと思います」。

 その柔軟性とサッカーIQで新しいポジションにトライしているナンバー8。徳島ヴォルティスユース(徳島)の新・左サイドバック。MF新田洸成(新3年=徳島ヴォルティスジュニアユース出身)の前向きなクラブ愛は、きっとチームをより活性化させていくに違いない。

 ジェフユナイテッド千葉U-18(千葉)と対峙した、船橋招待U-18サッカー大会2日目の一戦。徳島ユースの最終ラインには、キャプテンマークと“8番”を付けた左サイドバックが入る。「自分の武器は上下の運動量だったり、ハードワークするところなので、毎試合毎試合満足することなく、どの試合も自分の出せる力を100パーセント出し切ろうという気持ちでやっています」という新田は、ボールをうまく落ち着かせながら攻撃に加勢していく。

 改めてこの2日間で、自分たちが身に付けてきたモノが武器になる感覚を得ているという。「ユースに上がってからずっと言われてきた頭の速さ、“ビハインド”の速さというのは全国でも通用するレベルなんだなと思いました。そこは1年の頃から言われてきたので、無意識に『ああ、ここにボールがこぼれてきそうだ』というのがわかりますし、相手が顔を上げた時にはもうボールを奪っているような速さで行けているという部分は、このレベルでも通用しているので、武器になるんだなと思います」。いわゆる『頭の速さ』=『判断の速さ』の重要性は、前任の倉貫一毅監督(現・FC琉球ヘッドコーチ)から、玉城航監督になってももちろん変わっていない。

 ボールを動かしつつ、ポジションも中に取ったかと思えば、幅を取ってサイドに張り出すことも。まさに左サイドバックが本職かのように見えるようなプレーを繰り返すものの、新田は自らこう明かす。

「中学生の時はずっと右サイドハーフをやっていて、ユースの1年生の時はボランチや2列目でプレーしていました。去年は右サイドハーフか左サイドハーフ、両ウイングをやっていたので、左サイドバックは3年生になってから初めて取り組んでいます。このシーズン始動からやっていますね」。

「攻撃の面でいうと、左サイドバックは仕掛けやすいですね。自分は右利きなので内足の方が仕掛けやすいです。でも、守備の1対1の対人のところは、まだまだ磨かないといけないなと思います」・いわゆる“新米左サイドバック”。現在、プレーも絶賛整理中だ。

 ゆえに、トップチームの試合で参考にする選手も変わってきているという。「ずっと岩尾憲選手だったんですけど(笑)、今年は左サイドバックをやっていることもあって、新井直人選手をよく見ています。もうポジション取りも自由にというか、『サイドバックだから外に張って』という概念みたいなものに囚われずに、相手のポジションを見て、自分のポジションで相手を動かして、味方を生かしながら、自分も生かせるようなところはもっと盗みたいですし、自分のプレーに採り入れたいと思います」。やはり複数ポジションをこなせる器用さを売りにしながら、今シーズンは左サイドバックでスタメンを確保している新井と、境遇が重ならないわけでもない。

 小さい頃から応援してきたヴォルティス。もちろん今でもスタンドで見る時は思わず力が入るが、もうそのピッチに立つ資格を得るための権利は、手が届く所まで迫っている。「一番トップチームに近いカテゴリーでやっているので、ファンとして見るのではなくて、自分がこのピッチに立っていたらどうプレーしているのかなと考えたりはしています」。左サイドバックの位置から、ゲームをコントロールする。今までにはなかった視点だが、イメージは湧きつつある。

「プリンスリーグではアシストだったりゴールという形で、全体の8割ぐらいの得点に絡みたいなと考えています。チームとしてはプレミアに上がるという1つの大きな目標を立てて進んでいくので、こういう全国レベルを感じられる大会も用意してもらいましたし、あと1日ですけど、ここで吸収できることを吸収し切って、帰りたいと思います」。

 自身の成長と、グループの成長を、しっかり見極めながら、どちらの総和も大きくしていけそうなリーダータイプ。ヴォルティスをもっともっと知ってもらいたい。新田は大いなる野望のため、目の前の1試合1試合に、堂々と、死ぬ気で立ち向かう。

(取材・文 土屋雅史)
 

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