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カタールW杯へ森保監督もサバイバル宣言「自分自身も道が続くのか、途絶えるのかという覚悟を」

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日本代表森保一監督

[3.29 W杯最終予選 日本1-1ベトナム 埼玉]

 6連勝でのW杯出場決定で勢いに乗っていた日本代表だったが、W杯最終予選ラストマッチは最下位ベトナム相手のドローという結果に終わった。森保一監督は本大会に向けて「もっとチーム全体で誰が出ても相手にスキを突かれないように、やろうとすることをスムーズに発揮できるよう、選手層を広げてレベルアップしないといけない」と力を込めた。

 W杯出場が決まった24日のオーストラリア戦(○2-0)から先発9人を変更し、テスト色の強いメンバー編成で臨んだベトナム戦。前半はMF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)、MF久保建英(マジョルカ)、FW上田綺世(鹿島)らフレッシュな選手が持ち味を発揮する場面もあったが、細かい連係ミスが続いたことでゴールは奪えず、逆に相手のファーストチャンスを決められて0-1でハーフタイムを迎えた。

 唯一の失点はセットプレーから。オーバーエイジのDF吉田麻也(サンプドリア)を含めて東京五輪を戦った6選手が先発に並んだ中、五輪でも課題が露呈した部分だった。森保監督は「マークの整理自体は問題なかった」と振り返りつつも、「デザインされたものを出してきたと思うが、対応能力という点で反省を活かし、相手がどういう形できても、マークを外すことなくついていけるような対策をしないといけない」と反省を語った。

 後半は立ち上がりからMF伊東純也(ゲンク)を投入し、久保がトップ下に入る4-2-3-1にシステムを変更。「バランス的に後ろを安定させて、サイド攻撃で右は伊東(純也)、左は三笘薫ということで起点になるところでダブルボランチからサポートに行けるように攻撃力を上げるためにということを考えた。(久保)建英には右サイドから中央で相手のライン間に入ってもらいながら攻撃に絡んでもらう、チャンスを作ってもらうことを考えて形を変えた」。その狙いも実り、吉田の攻撃参加から同点ゴールを奪った。

 その後も「勝つために交代カードを切った」という言葉どおり、MF田中碧(デュッセルドルフ)、MF守田英正(サンタクララ)、MF南野拓実(リバプール)といった主力を次々に投入。アタッキングサードで左右にボールが回るようになり、ベトナムを一方的に攻め立てていた。それでも最後までゴールは奪えず、1-1のままタイムアップ。カタールW杯に向けて本格始動となるべき一戦をドローで終えた。

 森保監督は前半の戦いぶりについて「自分の良さを発揮する部分、チームで機能する部分でも、積極的にプレーしてくれていたが、なかなかお互いのプレーのイメージを合わせることができなかった」と反省。後半については「これまでスタートで出ていた選手が試合の中で違いを見せてくれた」と前向きに捉えつつも、「もっと絵を合わせていけるように準備していかないといけない」と改善を誓った。

 この引き分けにより、W杯抽選会の「ポット2」入りは絶望的となった。それでも森保監督は「ポットの部分においては有利になるということも考えられるかもしれないが、W杯に出てくるチームは全て強豪だと思うし、ベスト8以上の結果を掴み取る部分においてはポットが結果を保証してくれるものではない」と力説。「常にわれわれもレベルアップすること、どんな強豪と戦ってもわれわれが勝利に結びつけられるようにということを考えて強化をしていきたい」と話した。

 カタールW杯まで半年あまり。ここからさらなる新戦力の台頭と、戦い方の熟成が求められる。

「あらためて選手たちに競争を煽るつもりはないが、競争は当たり前の世界。常に所属チームのために勝たせる存在であってほしいし、存在感を発揮してほしい」と選手にサバイバルを要求しつつ、「選手だけでなく私自身が自然とW杯に向かっていけるわけではない。自分自身も一戦一戦、道が続くのか、そこで途絶えるのかという覚悟を持っていかないといけない」と自身にも矢印を向けた森保監督。まずは6月に4試合予定されている親善試合へ。「もう一度選手層の底上げをしていきたい」と意気込みを示した。

(取材・文 竹内達也)
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