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選手層に不安残すドロー…吉田麻也「物足りない」「もっとハングリーに」

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試合後、うつむくDF吉田麻也

[3.29 W杯アジア最終予選 日本1-1ベトナム 埼玉]

 チームの底上げという意味では物足りなさも残った。W杯出場を決めた24日のオーストラリア戦(○2-0)からDF吉田麻也、DF山根視来を除く先発9人を変更。東京五輪世代がMF久保建英を含めてスタメンのうち5人を占めた中、ホームで最下位のベトナムと引き分けという結果に終わった。

 吉田は「物足りないのは間違いない。勝って終わりたかったし、プレー内容的にもゲームの質的にも物足りなさを感じている」と厳しい表情で言った。試合直後はピッチ上にしゃがみ込むなど、だれよりも悔しさをのぞかせたキャプテンは「ここ数日、集客をあおっておいて、お客さんにプレーでお返しすると言っておきながら結果を出せなかったことへの歯がゆさが一番大きい」と唇を噛んだ。

 前半17分にCKから6試合ぶりとなる失点。その後の反撃も空転し、前半を1点ビハインドで折り返した。「選手が替わって、探り探りだったのが大きい」。そう振り返る吉田は、これまで出場機会の少なかった選手たちについて「チャレンジしたい、自分の持ち味を出したいというのと同時に、ミスをしたくないという心理も分からなくはない」と、その胸の内を推察。そのうえで「前半の途中、重心がグッと下がる時間帯があった。中盤の選手には『前に行ってほしい』という話をした」と明かした。

 森保一監督が兼任した東京五輪代表には吉田、DF酒井宏樹、MF遠藤航というA代表の主力がオーバーエイジとして参加。1チーム2カテゴリーとしての活動が選手間の意思疎通をスムーズにしているのは間違いない。

 吉田も「お互いをある程度理解した状態がスタートラインとしてあるのは、コロナ禍で時間がない中、チームを構築していくうえで生きてきているのはある」と認めるが、その一方で「ただ、決して手放しで喜べるパフォーマンスではなかったと思う」とも指摘。「チャンスをつかむという部分ではもっともっとこだわっていかないといけないし、もっともっとハングリーにいかないといけない」と高い要求を口にした。

「『自分の持ち味を出してほしい』『怖がらずにチャレンジしてほしい』とは言っていたけど、いきなりうまくいくのは難しい。練習時間も短いし、ある程度こうなるとは思っていた。それでも勝ち切らないといけない試合だった」

 W杯本大会まで残り約8か月。その間に海外組を含めたフルメンバーで戦えるのは6月の4試合と9月の2試合だけになる可能性もある。限られた時間の中、レギュラー組を脅かすような突き上げがチーム力を高め、本大会を勝ち上がっていけるだけの選手層につながっていくはずだ。

(取材・文 西山紘平)

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