beacon

駆け引き、“相手にとって嫌なゲーム運び”で「サッカーを楽しんだ」浜松開誠館、プリンス東海開幕戦で藤枝東撃破!

このエントリーをはてなブックマークに追加

前半3分、浜松開誠館高FW山口莉生が先制ゴール

[4.2 高円宮杯プリンスリーグ東海第1節 浜松開誠館高 2-1 藤枝東高 浜松開誠館総合G]

 駆け引きや“相手にとって嫌なゲーム運び”でサッカーを「楽しんだ」開誠館が、開幕戦を制す――。2日、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ東海 2022が開幕。浜松開誠館高藤枝東高との静岡県勢対決は、浜松開誠館が2-1で勝ち、白星発進した。

 ホームの浜松開誠館は4-2-3-1システムでGK藤村天洸(3年)、右SB前田康尋(3年)、CB八巻涼真(2年)、CB原田渉夢(3年)、左SB関口拓海(2年)、ダブルボランチが岡田海人(3年)と今井航(3年)、トップ下が坂上輝(3年)、右SH兼子壮太(3年)、左SH松本大樹主将(3年)、1トップを山口莉生(3年)が務めた。

 一方の藤枝東は4-3-3システムでGK石坂地央(3年)、右SB海貝俊輔主将(3年)、21年U-16代表候補CB野田隼太郎(2年)、CB寺田史朗(3年)、左SB大場翔太(3年)、アンカーに出水志耀(3年)が入り、その2シャドーに泉新之助(2年)と渡辺皐(2年)、右FW中島悠翔(3年)、左FW良知英祥(2年)、CFに井藤璃人(3年)が入った。

 立ち上がりから相手にとって嫌なことを徹底した浜松開誠館が、先手を取った。3分、中央から縦へ運んだ坂上が右へ展開。そして、兼子のクロスを山口が頭で逆サイドのゴールネットへ流し込んだ。

 試合開始から鋭い寄せを見せていた浜松開誠館の攻勢の時間帯が続く。自陣ゴールエリアからショートパスを繋ぐ藤枝東のビルドアップをハイプレスで封鎖。松本が「いつも(立ち上がり)5分、裏返しというのをやっているんですけれども、相手がバタバタしていたので続けようという話になって」と説明したように、奪ったボールを間髪入れずにDF背後へ入れ、迷わずにクロス、シュートへと持ち込んでいく。

 浜松開誠館は相手が準備する前に仕掛け、セカンドボールを回収して連続攻撃。中盤では坂上が献身的な守備を続けて出水ら相手中盤の自由を奪い、そのストロングポイントである両翼までボールを通させない。また、攻撃面では、松本や今井が目の前のDFを外す巧さも。21分には今井がワンツーから右足を振り抜き、24分にはPAで相手のタイミングをズラした松本の右足シュートがニアポストを叩く。

 藤枝東は落ち着いて試合を進めていたものの、ショートパスに固執し過ぎた面も。異質のスペース感覚を持つ渡辺が奪い返しから左足シュートを放つなど対抗していたが、なかなかリズムを掴むことができなかった。それでも、藤枝東は30分頃からワンツーなどでスペースを狙う攻撃を増加。良知や井藤がシュート数を増やして前半を終えた。

 浜松開誠館は後半1分、松本の右足シュートがクロスバーをヒット。だが、出水、泉、渡辺のレフティートライアングルを中心に個々の技術力が高い藤枝東は後半、ボールを保持する時間を大きく伸ばし、人数を掛けた崩しを続ける。4分に渡辺がワンツーから左足シュート。右SB海貝と左SB大場が高い位置で攻撃に係わり続けた。

 藤枝東は就任1年目の鷲巣延圭監督が、「点を獲るために、前に人を集めたい」というサッカーを展開。だが、「(SBが上がり過ぎたことで)逆に中盤のスペースを埋めていたかもしれない」と指揮官が振り返ったように、前がかりになりすぎたことも影響してか守りを固める浜松開誠館に決定打を撃ち込むことができない。

 浜松開誠館は原田と八巻中心に守りが安定。今井の効果的なインターセプトなどから攻め返す。そして19分、松本の左CKをファーサイドの今井が頭で追加点。青嶋文明監督が「(身体能力こそ高くないが、)メリハリをつけれるようになってから、能力の低さを大分カバーできるようになってきた」という今井は攻守で活躍。そして、貴重なゴールによってリードを2点とした。

 藤枝東も24分に1点を奪い返す。交代出場で攻撃のテンポを上げていたMF砂押解世(3年)のスルーパスで中島が右中間を抜け出し、折り返しを良知がゴールへ沈める。その後もボールを支配して相手にプレッシャーを掛けた。

 浜松開誠館は14分のFW若尾直哉(3年)投入に続き、31分には中学3年生の注目MF川合亜門がプリンスリーグデビュー。運動量を維持しながら、次の1点を目指す。藤枝東に押し込まれる展開が続いたが、関口のタックルや岡田、前田が際の勝負で先にボールを触るなどリードを守り続ける。

 藤枝東は33分、再三右サイドから仕掛けていた中島のクロスを大外の良知が頭で落とし、井藤が左足で狙うが、浜松開誠館GK藤村がキャッチ。高速ウイングMF中村朔良(3年)やCB吉川慶二郎(3年)の主軸組不在の中でも選手層の厚さを見せる藤枝東は、さらに俊足FW江口立樹(2年)を投入。浜松開誠館もMF粟倉朱惟(3年)をピッチへ送り出す。藤枝東はボールを支配して攻め続けたが、猛攻を凌いだ浜松開誠館が勝利を喜んだ。

 白星発進した浜松開誠館の青嶋監督は「自分で状況判断し、自分のプレーを発揮していく。(選手たちに)サッカーを楽しむ、っていうのはどういうことなのか、大分考えさせました」という。この日は前評判の高かった藤枝東との一戦。坂上は「個で負けてもチームというか、頭の部分では勝とうと言っていました」と振り返る。選手たちは藤枝東が背後の攻撃を嫌がっていると感じるやプランを変更して継続。また、守備面でも相手の得意とするビルドアップし辛いポジショニングを取り、反撃をまとまり良く封じるなど狡猾な戦いで勝ち切ることに成功した。

 松本は「駆け引きとか、したたかに。それを元気にやろうという話はしていました。相手にとって嫌なゲーム運びができた。良いゲーム運びができたのは楽しかったかなと思います」と笑顔。昨年はリーグ戦で8位、トーナメント戦でも結果が出なかったが、まず開幕戦を楽しみながら勝利した。リーグ戦、インターハイ、選手権を「3つ全部勝つというのが僕らの目標です」(松本)という目標達成へ、この白星で弾みをつける。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●高円宮杯プリンスリーグ2022特集

TOP