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東京V佐藤久弥がJデビューで無敗継続! 序盤ヒヤリ大ピンチも「逆に気分が切り替えられて」強敵完封

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東京ヴェルディGK佐藤久弥

[4.3 J2第8節 東京V 1-0 大分 味スタ]

 この日がJリーグデビューだった東京ヴェルディGK佐藤久弥が、強敵大分トリニータ相手の見事な完封劇で、愛するクラブのJ1自動昇格圏浮上に大きく貢献した。「小学校の頃からずっとこのピッチに立ちたいと思ってサッカーをしてきたので、夢だった舞台に立てたのは非常にうれしかった」。小学生時代から育成組織でプレーし、東京Vユースまで在籍していた生粋のヴェルディ戦士。味の素スタジアムの舞台で華々しい初陣を飾った感慨はひとしおだった。

 試合後、佐藤は満面の笑みで心境を表現した。「一言に最高としか言えない」。小学生時代から東京Vの育成組織でプレーしてきたが、東京Vユース卒団後にトップチーム昇格を果たせず、一時は遠のいたプロの舞台。それでも順天堂大経由で帰還を果たし、GKとしては決して遅くない2年目でのJデビューとなった。

 もっとも、公式戦出場は大学時代以来のこと。「緊張は正直ありました」と振り返ったとおり、試合の立ち上がりは思うような心理状態ではなかった。象徴的だったのは前半13分の場面。バックパスを受けてコースを探しながらボールを持ち上がった際、FW長沢駿のプレッシングにハマり、スライディングタックルを受けたあわや失点という局面をつくられたのだ。

「純粋に判断が遅れた。(小池)純輝くんがフリーなのが見えていたので蹴ろうと思ったけど、一瞬左を見た時に相手が止まっていたので、もう一個運べると思ったらスピードを上げられた。そういう意味ですごく勉強になった。入りだったので落ち着いていこうとなりすぎた結果、そこを突かれたのが反省点」。いわば、プロ基準の駆け引きに“洗礼”を受けた形となった。

 それでもこの場面をDFンドカ・ボニフェイスのクリアで逃れると、その後は危なげないプレーを90分間続けた。「1年と少しぶりの試合というのもあったので、入りは硬くなってしまった部分があったけど、スライディングで取られたあたりから逆に気分が切り替えられて、自分のプレーを見つめ直せたのが良くなった点かなと思う」。最初の反省をしっかりと修正し、落ち着いたパフォーマンスにつなげていった。

 雨中の試合で光った安定したハイボール処理だけでなく、後半18分にはチームを救うスーパーセーブも見せた。波状攻撃から放たれたMF下田北斗のミドルシュートに対し、佐藤はゴール右上隅まで届く横っ飛びで阻止。「少し敵も味方も多くて、ボールがちょっと見えなかったけど、練習で“止まってからセービングする”ロイうのをずっと意識していた。ボールが見えた瞬間にしっかり足を運んでセーブできた」。日頃の積み重ねが活きたビッグプレーだった。

 そうした日々の積み重ねは、出場機会を得られなかった昨季から続けてきたものだ。「昨年を通して油原(丈著)コーチとも意識していたのが、とにかく自分のシュートストップの時にポジションを立てること。予測して早く倒れるのではなく、間合いを取って、自分の周りのシュートを確実に取っていくことを意識し、それから守備範囲を広げていこうということでやってきた。最近ようやくそれが実を結んできて、シュートストップもいい感じになってきた」。

 とはいえ、1試合だけで評価が決まるものではないのがプロの舞台。佐藤自身もその現実と真正面から向き合い、すでに気持ちを切り替えている。「終わった直後は嬉しい気持ちのほうが大きかったけど、次にまだまだ試合も続いていくので、今後の試合に出場するために一から頑張っていかないといけない」。奇しくもデビュー翌日の4月4日は24歳の誕生日。23歳最後の日に新たなスタートを切った守護神は、新たな年も変わらぬ鍛錬を続けていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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