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U-15代表への”トライアル”。タウンクラブ中体連TCメンバーが練習試合で好勝負

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タウンクラブ中体連TCメンバーが鹿島アントラーズジュニアユースと練習試合を行った

 Jクラブの育成組織に所属していない選手たちの中から有望な選手を発掘して刺激を与える目的で開催されているJFA U-15タウンクラブ・中体連トレーニングキャンプが14日から千葉県内で開催されている。16日には鹿島アントラーズジュニアユースと30分3本の形式で練習試合を実施した。

 タウンクラブ中体連TCの先発メンバーは、GKに寺田健太郎(スマイスセレソンスポーツU15)、DFに小山田蓮(青森山田中)、重村心惺(RIPACE)、久保田仁基(ルーテル学院中)、針生涼太(FC FUORICLASSE SENDAI)と並び、MFは青山透吾(奈良YMCAサッカークラブ)、伊藤喬崇(HONDA FC U-15)、山縣優翔(千里丘FC)、浜谷玲玖(スプレッドイーグルFC函館)、FWは松田翔空(高知中)と宮本侑宕(アルコバレーノFC)が2トップを組んだ。

 立ち上がりから試合のペースを握ったのは鹿島JY。木村康彦監督が「場慣れしていない選手も多く、相手の圧力に飲まれてしまったところはある」と率直に振り返ったように、前線から激しくプレッシャーをかけてくる相手に苦戦を強いられ、開始早々の2分にFW高木輝人にこぼれ球を詰められる形で失点すると、続く6分にもMF佐藤湧斗に、さらに17分にもMF岩永佳樹のゴールを許して、0-3のビハインドとなってしまった。

「相手が思っていたより前からガンガン来る中で全体的にサポートが遅くなってしまい、間延びもしてしまっていた」(伊藤)という苦しい内容が続き、心理面でも「最初にやられて消極的なプレーが増えてしまった」(木村監督)という悪循環に陥ってしまった。

 ただ、そこはU-15日本代表を狙えるタレントとして、「全国のJFAコーチから推薦を受けてきた選手たち」(木村監督)である。1本目と2本目の間で互いに意見もぶつけ合いつつ、戦術的な問題も修正。2本目から投入されたMF佐々木悠太(神村学園中)が「前半あまりボールが持てない中で、どうやってボールを回すか、ボールを引き出すかを考えていた」といったとおりのプレーを見せたほか、全体的に内容を改善させた。

 2本目から右MFへ移った伊藤が見事なドリブルシュートを突き刺して反撃の口火を切ると、佐々木が「ちょっとした思いつきで低くて速いボールを蹴った」CKから伊藤が2度目のゴールも沈めて1点差に詰め寄り、アクティブな攻防が続く好勝負に持ち込んだ。

 3本目にもミスから4失点目を喫したものの、途中出場でFWに入った樋口汐音(SQUARE富山FC)が「DFがボールを見ていたのでその背後に入った」という見事な動き出しから豪快なヘッドを突き刺して再び1点差に。その後も好機はあったが、ゴールは生まれずに試合は終了。3-4での悔しい敗戦となった。

 試合後、木村監督は序盤の内容を惜しみつつも、あらためて「U-15代表に入っていける選手がいると感じたし、(U-15代表の)廣山望監督からもそういう話があった」と選手発掘の手応えも話した。

 また、「食事など体作りで意識していくべきことについても話をしたし、そういう点でも刺激を与えられればと思っていた。日常生活でもトレーニングでもこの合宿を機にして、自分の夢をかなえるために変えていこうと思うきっかけになってくれればいいと思っています」と木村監督は言う。

 選手側も大きな刺激を得た様子で、樋口は「全国のいろんなとこから集まった選手と練習から厳しくバチバチやり合ったり、チームとして戦ったりするのは今までにない経験だった」と話す。また試合後のケアの仕方など知識の部分でも学びが多かったと振り返った。

 日本サッカーを下支えするU-15年代のタウンクラブと中体連の精鋭たちを集めて行うこの合宿は17日に解散となるが、「ここからいくらでも逆転していく年代」(木村監督)だけに、ここで得た刺激を財産にしてのさらなる成長を待ちたい。

(取材・文 川端暁彦)

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