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安斎颯馬がプロ顔負けの2ゴール!! “02世代”編成の関東大学選抜が意地の圧勝劇、横山2発のU-19日本代表候補を5-2粉砕

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MF安斎颯馬(右から3人目)が2ゴール

[4.27 練習試合 U-19日本代表候補 2-5 関東大学選抜]

 千葉県内でトレーニングキャンプを行っているU-19日本代表候補は合宿最終日の27日、1〜2年生で編成された関東大学選抜と練習試合(45×3本)を行った。MF安斎颯馬(早稲田大2年)が2ゴールを奪った関東大学選抜が5-2で圧勝。Jリーガーが多く並んだU-19日本代表候補は2本目途中から出場したFW横山歩夢(松本)が2ゴールを決めた。

 2003年以降に生まれた選手が対象のU-19日本代表候補は、来年のU-20ワールドカップ出場を目指すチーム。今年5月末から6月中旬にはフランスで行われる第48回モーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際大会)への出場が決まっており、今回の合宿は貴重な海外遠征のチャンスを掴むための選考の場となっている。

 この日の布陣は4-2-3-1。GK波多野崇史(同志社大)がゴールを守り、4バックは右からDF西久保駿介(千葉)、DF菊地脩太(清水)、DF石井大生(湘南)、DF松田隼風(水戸)。MF藤原健介(磐田)とMF福井太智(鳥栖U-18)がダブルボランチを組み、2列目は右からMF荒井悠汰(昌平高)、MF笠柳翼(長崎)、MF古川陽介(磐田)、1トップにはFW千葉寛汰(清水)が入った。

 対する関東大学選抜は02年生まれの2年生が主体で、システムは同じ4-2-3-1。GKヒル袈依廉(早稲田大2年)が最後尾に構え、4バックは右からDF関根大輝(拓殖大2年)、DF鷲見星河(明治大2年)、DF板倉健太(東京国際大2年)、DF小澤亮太(日本体育大2年)。MF竹内崇人(筑波大2年)とMF藤井海和(流通経済大2年)がダブルボランチを構成し、2列目は右からMF安斎颯馬(早稲田大2年)、MF日野翔太(拓殖大2年)、MF田村蒼生(筑波大2年)。1トップはFW星野創輝(中央大2年)が務めた。

 試合は立ち上がりこそ古川の突破が光ったU-19日本代表候補が攻め込むも、徐々に1学年上の関東大学選抜が主導権を奪取。すると1本目の4分、関東大学選抜はスルーパスにGK波多野が飛び出してきたこぼれ球を起点に波状攻撃を展開し、田村が先制点を奪う。さらに同15分、短いパスを受けた安斎が相手をかわしながら強烈な右足シュートを突き刺し、早々に2点リードとした。

 U-19日本代表候補はその後も古川の突破頼みになる時間が続き、同17分には千葉がカットインシュートを狙うも相手守備陣がブロック。同20分には藤原のCKに菊地が合わせたが、枠を外れた。関東大学選抜も同30分、小澤とのワンツーで抜け出した田村がグラウンダークロスを送るも、安斎のシュートが枠を捉えられなかった。

 U-19日本代表候補は同41分、右サイドに張っていた荒井が鋭いドリブル突破を見せ、スルーパスを送ると、笠柳が反応。シュートを打とうとした際に相手ブロックに遭い、笠柳は左足を負傷した。そのままプレーを続けることができず、MF吉田温紀(名古屋)がピッチへ。同45分、古川のクロスもヒルに阻まれ、関東大学選抜の2点リードでハーフタイムを迎えた。

 U-19日本代表候補は2本目開始時、波多野に代わってGK木村凌也(日本大)を投入し、4分にビッグチャンス。藤原のスルーパスに千葉が抜け出し、鋭い切り返しから左足で狙った。だが、これもヒルがファインセーブ。同11分には関東大学選抜が波状攻撃を展開したが、石井が素晴らしいブロックでピンチを阻んだ。同14分、U-19日本代表候補はCK守備のカウンターから荒井、古川とつなぎ、スルーパスに千葉が反応。しかし安斎の献身的なプレスバックで処理された。

 関東大学選抜は同20分、日野と安斎が立て続けにチャンスを迎えたが、松田らU-19守備陣の身体を張った対応を破れない。それでも同22分、田村が相手をかわして放ったシュートは西久保にブロックされたが、こぼれ球から二次攻撃をスタート。小澤のクロスに安斎が頭で合わせ、この日2ゴール目で3点リードとした。

 同23分には両チームとも大幅に選手交代。U-19日本代表候補は先発全員を入れ替え、システムを4-4-2に変えた。4バックは右からDF中野伸哉(鳥栖)、DF西野奨太(札幌)、DF田中隼人(柏)、DF溝口修平(鹿島)を並べ、ダブルボランチは途中出場の吉田とMF佐野航大(岡山)。サイドハーフは右がMF屋敷優成(大分)、左がMF山崎太新(筑波大)、2トップにはFW鈴木章斗(湘南)、FW横山歩夢(松本)が入った。

 対する関東大学選抜は全員を変更。GKには佐藤瑠星(筑波大1年)が入り、4バックは右からDF内田陽介(明治大2年)、DF松本太一(桐蔭横浜大2年)、DF小澤希海(流通経済大2年)、DF稲村隼翔(東洋大2年)。ダブルボランチはMF伊勢航(早稲田大2年)とMF笠井佳祐(桐蔭横浜大2年)で、2列目は右からMF角昂志郎(筑波大2年)、MF熊取谷一星(明治大2年)、MF中島舜(流通経済大2年)で、1トップはFW三浦敏邦(拓殖大2年)が務めた。

 すると同32分、関東大学選抜がセットプレーから追加点。角の左CKからゴール前でフリーになっていた松本が力強いヘディングシュートで決め、4-0とした。大量失点となったU-19日本代表候補は同41分に待望の初ゴール。屋敷のパスにゴール前で反応した横山が枠に当てながらもゴールにねじ込み、今季J3リーグ5得点の好調を代表の舞台でも見せつけた。ところが直後の同42分、関東大学選抜が再び加点。カウンターから三浦が縦に走り、スルーパスに抜け出した熊取谷が決めて5-1となった。

 3本目開始時、U-19日本代表候補は木村に代えてGK彼島優(流通経済大)、吉田に代えてMF安部大晴(長崎U-18)を投入。その後は相手の疲れもあり、屋敷、田中、横山が次々に決定機を迎えたが、いずれもフィニッシュの精度を欠いてゴールには至らず。同31分、鈴木のスルーパスに抜け出した横山がスピードに乗りながら冷静にGKの逆を突いて流し込み、この日2ゴール目を決めたが、反撃はここまで。関東大学選抜が5-2で勝利した。

 試合後、オンライン取材に応じたU-19日本代表の冨樫剛一監督は「19歳年代の課題である出場時間の少なさもあり、いつもは45分×2本だけど関東選抜さんにお願いして強度の高い45×3本にしてもらった。どんな反応をしてくるかも含めて、どんな選手かを見させてもらうようなトレーニングキャンプにさせてもらった」と総括。「新しく代表に入って選手たちが思っているよりも『自分がこういう選手だ』というのを出してくれた。それがチームにとってプラスになるんだよというのをアピールしてくれたことが収穫」と横山らの台頭を前向きに受け止めた。

 一方、代表への生き残りという点ではより高い基準が求められるのも事実だ。試合後、内田篤人ロールモデルコーチから選手たちに「負けて求める選手もあまりいない。そういう選手は何人も見てきたけど、お前ら潰れるぞ」という厳しい言葉が伝えられた様子。冨樫監督も「もっと自分はできるんだということでないと。日本代表はたくさんの人がここに入りたいわけで、その資格を持っている選手がいっぱいいるので、その辺の競争の厳しさを伝えてくれたのは正しいこと」と述べ、選手たちに所属クラブでのさらなるレベルアップを求めていた。

(取材・文 竹内達也)
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