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欧州視察中にコロナ感染…森保監督が無事報告「日本も早くこうなればいいなと感じた」

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オンライン取材に応じた森保一監督

 日本代表森保一監督が28日、報道陣のオンライン取材に応じ、ヨーロッパ視察中の新型コロナウイルス感染について「ホテルで隔離生活をしていたが、特に心細いというのはなかった。幸いなことに少し熱は出たが、一時的なもの。いわゆる軽症で済んだということで、体調的にも大きな問題は感じずに回復できたので良かった」と笑顔で振り返った。

 日本サッカー協会(JFA)は今月14日、森保監督と反町康治技術委員長から新型コロナウイルスの陽性反応が認められたと発表した。森保監督はドイツで喉に違和感を覚え、抗原定性検査で陽性を確認。現地のホテルで隔離生活を行った後、24日に帰国していた。

 森保監督は取材対応の場で、JFAヨーロッパオフィスダイレクターの津村尚樹氏と家族への感謝を語った。

「異国の地で一人でということであれば心細いのはあったかもしれないが、ホテルでは一人だったが、デュッセルドルフにはJFAのオフィスがあって、日本人スタッフの津村さんがいて、全面的にサポートしてただいた。何かあれば安心して対応していただけるということで、いつも準備していただいていたし、食事も津村さんの奥さんに作っていただいたり、ホテルに運んでいただいて、食にも困らなかった。症状がキツくて食事も食べられないという状態ではなかったし、コロナ痩せはなかったし、むしろ太ったくらい。食事のサポート、病気のケアのサポートもしていただいたので不安はなかった」

 また日本とヨーロッパでは、新型コロナウイルスとの向き合い方に大きな違いがあることも感じたようだ。森保監督は感染前のオンライン取材で現地のスタジアムの雰囲気に言及し、「早く日本もこちらのように同じような基準になればいいな、世界基準になればいいなというふうに思っている」と話していたが、隔離生活を送ることであらためて「捉え方、感覚の違い」を実感したという。

「日本もヨーロッパも“ウィズコロナ”ということは一般的に知れ渡っているが、日本はより“ゼロコロナ”に近い対策、予防をしている。ヨーロッパでは、たとえばドイツは室内ではマスクはしているが、屋外では基本はマスクを外している。私が回ったヨーロッパ諸国もマスクはしないでフリーでいる。予防の感覚の違いがあるかなと思う。またワクチンを3回接種していれば日常生活は普通に行っていくという感覚で、経済のことは数字的にはわからないが、ビジネスを普通に行っていくという感覚、子供も含めた人々の日常生活も普通に行っていくという感覚でいるなと思った。いわゆるコロナにかかったとしても、風邪症状の延長みたいな感覚で見られているなと思いました」

 その上で森保監督は、新型コロナウイルスへの対応に尽力する医療従事者やエッセンシャルワーカーへの配慮を強調しつつ、日本でもコロナ禍以前の日常生活が戻ってくることを待ち望んだ。

「医療従事者やエッセンシャルワーカーにご迷惑をかけてはいけないというのは全世界同じことだと思うし、コロナでお亡くなりになった方々、コロナの影響で大変な思いをしている方々がいる中で、その方々への配慮を忘れてはいけないとは思うが、コロナの制限によって苦しんでおられる方々もいて、コロナ直接ではなく制限によって体調を崩したり、病気になる方もいる。また学生など若い人たちが大人になるための大切な経験の場がたくさん失われている中、日常生活をより普通に持っていくことで、社会の機能であったり、人々の成長、日々の健康を維持していこうというところはヨーロッパのほうがより大きいと感じる。コロナと一線を引くのではなく共存しながら、とくにワクチンを打っているのなら普通に生活していこうというのは日本との違いを感じた」

「私自身の考えとしても、政府の皆さん、地方行政の皆さん、エッセンシャルワーカーの皆さんがコロナ対策に尽力してくださっていること、コロナで苦しんでいる方への配慮も忘れてはいけないが、制限の中で苦しんでいる方々、企業や、事業者、飲食従事者の皆さん、そして大人になるための貴重な経験を失っている若い人々の立場にも立って、自然な生活を送れるようにサポートしていきたいとヨーロッパに行って感じた。無謀なことはやってはいけないと思うが、次のフェーズに入っているということはヨーロッパに行ってすごく感じたし、日本も早くこうなればいいなと感じました」

 そうした中、日本代表は6月に国際Aマッチ4試合を予定している。2日に札幌ドームでパラグアイと対戦した後、6日には新国立競技場での初の代表戦としてFIFAランキング1位のブラジル代表を迎え撃つ。詳細な観戦ルールは今後発表される予定だが、森保監督は「声援がすごく大きな力になる。ブラジル戦で満員の観客の中でプレーしたいし、サポーターの皆さんの声に後押ししてもらいながら勝利に向けて挑めればすごくうれしい」と述べ、ヨーロッパ同様の“声出し解禁”をあらためて望んでいた。

(取材・文 竹内達也)

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