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守り安定の帝京が強みも発揮。西武台を2-0で下し、プリンス関東2勝目

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後半40分、帝京高MF田中遥稀(右)が追加点

[4.29 高円宮杯プリンスリーグ関東1部第5節 西武台高 0-2 帝京高 西武台高校第2G]

 守備を安定させながら、特長を発揮した帝京が2勝目――。高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2022 関東1部は29日、第5節1日目を行い、西武台高(埼玉)対帝京高(東京)戦は帝京が2-0で勝った。

 西武台にとっては、2部に参戦していた11年以来となるプリンスリーグ関東での戦いでここまで1分2敗。4-4-2システムのGKは千葉楓太(3年)、右SB谷口輝(1年)、CB河合陸玖(3年)、キャプテンのCB長谷川智紀(3年)、左SB治部田元太(2年)、ダブルボランチが武笠修也(2年)と西村航(2年)、右SH松本大毅(3年)、左SHが10番MF和田力也(3年)、2トップは今季2ゴールの松永隆弥(3年)と樋口春哉(3年)がコンビを組んだ。

 帝京は開幕戦で三菱養和SCユースに勝利したが、その後2連敗。さらにU-19日本代表候補の左SB入江羚介(3年)が負傷離脱している状況だ。4-2-3-1システムのGKが川瀬隼慎(2年)、右SB並木雄飛(3年)、CB大田知輝(3年)、CB梅木怜(2年)、左SB小林佳太(3年)。中盤は押川優希(3年)と田中遥稀(3年)のダブルボランチで右SH松本琉雅(3年)、左SH前野翔平(3年)、トップ下が伊藤聡太主将(3年)、1トップを齊藤慈斗(3年)が務めた。

 立ち上がりはホームの西武台がプッシュする。武笠と西村のダブルボランチが運動量を増やすなど相手に圧力を掛け続け、奪ったボールを右サイドへ。そして、松本が仕掛けへと持ち込んでいた。14分には左サイドからのFKを河合が折り返し、この日堂々の動きを見せていた1年生DF谷口が狙うも帝京DFがブロックする。

 帝京の日比威監督は「西武台さんはセンタリングからのゴールへの入り方、シュートが上手い。それを出させたくなかった」という。序盤はやや後ろに重心を置く形で守備を安定させ、前半半ば頃までに慣れるとボールを支配して押し込んだ。

 西武台はこの日がプリンスリーグ復帰4試合目。守屋保監督はプリンスリーグ勢との差を「頑張りだけじゃなくて、色々なチームの一人ひとりがどこでボール入れてきたり、どこで角度を変えたりということを意図しているなと。そして大事なところで得点したり」という部分に感じているという。

 西武台は守備の頑張りが利いていたものの、余裕を持って繋ぐことができずにクリアの連続。そのボールを押川中心に拾って繋ぎ、個性あるアタッカー陣が特長を発揮する帝京は27分、田中の左FKから前野が決定的なヘッドを打ち込む。これは西武台GK千葉がストップ。だが帝京は31分、右CKのこぼれ球に齊藤がいち早く反応し、右中間から右足シュートを打ち切る。最後はこぼれ球を伊藤が押し込み、先制点を奪った。

 長短のパスを繋ぐ帝京は、前線で強さとファーストコントロールの巧さを発揮する齊藤や最終ラインの中央からドリブルを繰り出す梅木がアクセントに。アディショナルタイムには右クロスのこぼれを伊藤が右足ループで狙ったが、ボールはクロスバーを叩いた。

 西武台は、後半開始からFW岡響己(2年)を投入。後半も帝京が押し込む展開が続き、14分には松本と並木のコンビで右サイドを崩し、走り込んだ田中が左足で狙うもボールは枠を外れた。主導権を握って攻める帝京だったが、仕留めきれず、終盤へ向けて西武台が巻き返して見せる。

 岡がフィジカル能力の高さを活かしてキープやクロス。だが、帝京は大田が「クロスに対してコースを切るのが一番で、先に触れるポジショニングと中のマークを早めに確認しておいて対応することを意識していました」というように、相手に得意とするサイド攻撃へ持ち込まれても慌てずに中でクリアしていた。

 西武台は17分に右サイドを岡が突き、最後はフリーの西村が走り込んだが、危険を察知して戻ってきたFW齊藤がブロック。西武台は直後に和田のFKから河合のヘッドというホットラインでシュートへ持ち込むも、わずかに枠を外れた。

 西武台は24分にMF風間裕貴(2年)を中盤中央に加え、31分には右サイドにMF藤木浩人(1年)を投入。帝京も31分、左サイドへMF山下凜(3年)を送り出す。その帝京は齊藤がコントロールからの左足ボレーを狙うなど追加点を狙うが、西武台は長谷川と河合の両CBを中心に我慢強く守り続ける。

 それでも、帝京は40分、右サイドへ移っていた前野の縦突破を起点に連続攻撃。伊藤の左足シュートはゴールライン上のDFにブロックされたが、最後は田中が技ありの右足ループシュートを決めて2-0とした。このあとMF土本瑶留(2年)とMF藤崎巧士(3年)を投入した帝京が攻め切って2-0で勝利。成績を2勝2敗とした。

 昨年からの経験者が多く、特にアタッカー陣が強みの帝京はボールを大事に、小さなスペースを個とグループで崩すらしさを発揮。また、過去2試合で7失点の反省も活かし、安定していた守備も勝因となった。大田は「失点してしまうと気持ちも下がったり、連続失点してしまうことが課題。自分たちが良いサッカーをするためには守備を堅く、ボールを奪うすることが大事になってくるので、しっかりとしていければいい」。良い攻撃のために、守備から。雨中の難しいゲームでそのテーマをやり切った帝京が、ここから攻守で強さを示す。

(取材・文 吉田太郎)
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