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悔しい敗戦も前進するための力。大津は選手権準V世代の努力、結果を「超越する」

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大津高の191cmFW小林俊瑛主将が前線でボールを収める

[5.1 高円宮杯プレミアリーグWEST第5節 清水ユース 4-0 大津高 アイスタ]

 プレミアリーグWESTで唯一の公立校は、完敗も「前へ」の原動力にする。大津高(熊本)は前半3分、雨の影響によるミスから先制点を献上。14分にもクロスからのヘッドを決められ、2点ビハインドとなってしまう。

 いずれも防げたような失点。序盤の2点ビハインドが精神的にも重くのしかかる中、選手たちは切り替えて足とボールを動かそうとする。けが人の影響でCB起用されたU-17日本代表MF碇明日麻(2年)やボールに多く絡んでリズムを作るMF坂本龍之介(3年)をはじめ、多くの選手が絡む形でボールを前進させ、右サイドのU-17日本高校選抜MF田原瑠衣(3年)を突破口に反撃した。

 前半、雨中で相手が嫌がることを十分に増やせなかったチームは、0-3の後半開始から3選手を入れ替えてギアチェンジ。FW稲田翼(2年)らがアクションを繰り返して前への姿勢を強め、U-19日本代表候補の191cmFW小林俊瑛主将(3年)がその高さで清水ユースゴールを脅かす。だが、ゴール前のシーンを増やしながらも、仕留めることができず。0-4で敗れる結果となった。

「自分たちは早い時間帯の失点が多く、全然改善できていない状況。それが今日も出てしまった。課題が見えているので、そこを修正するしかないし、練習するしかない」(小林)

 これで1勝1分3敗となったが、この日も188cmCB五嶋夏生(1年)とMF嶋本悠大(1年)の2人の1年生を先発起用。セカンドチームは初のプリンスリーグ九州で1勝2分1敗の5位と健闘している。将来へ向けた育成にも力を注ぎながら、チームは昨年超えにチャレンジする。

 昨年は九州新人大会で予選リーグ敗退。MF森田大智(現早稲田大)とGK佐藤瑠星(現筑波大)を除くと、経験値の少ない選手が多かった。だが、選手たちは前向きに努力を継続。プレミアリーグで戦いながらチーム力を高め、選手権で初の決勝進出、準優勝を果たした。

 山城朋大監督も「(去年も)あそこまで成長したので、覚悟しながら、ちょっとずつ(できること、力を)増やしていきたい。インターハイ、選手権(の県予選)も優勝してホッとする瞬間はないと思いますし、(選手権準優勝によって)目線は変わったのは間違いないと思いますけれども、実力はまだ全然ないので、足元を見つめながらやっていきたい」と語った。

 選手権決勝で青森山田高に0-4で敗れたことは選手たちのエネルギー。小林は「決勝の舞台を経験したのが自分と田原だけ。悔しさを知っているのは2人だけなので、悔しさを糧にやらないといけないし、去年達成できなかった選手権優勝を目標に毎日、強度の高い練習をしているので、それを信じてやっていくしかない」と力を込めた。

 平岡和徳総監督は、今年のテーマに「超越する」を選択。21年度は公立の雄にとって大きな一歩を踏み出す一年となったが、歩みを止めるつもりは全くない。小林が「(昨年の)3年生はマジメな人たちが多くて、努力をずっとしていた」と評した先輩たちの努力と結果を超越するための日々を過ごす。

(取材・文 吉田太郎)
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