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[MOM791]京都産業大MF食野壮磨(3年)_万博決勝弾に沸き立つ青黒の血

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MF食野壮磨(3年=G大阪ユース)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.1 関西学生L1部第3節 京産大1-0関西大 万博]

 MF食野壮磨(3年=G大阪ユース)は試合後、両ふくらはぎをアイシングしながらロッカールーム前で取材に応じてくれた。「走らされました。苦しかったですね」。拭う充実の汗。足がつるほどに走り抜き、京都産業大を開幕3連勝に導いた大黒柱は、心地よい痛みとともに残る勝利の余韻に浸っていた。

 前半13分のゴールを守り抜いた。食野はFW原田烈志(4年=G大阪ユース)に入れた縦パスからゴール前に詰めると、こぼれ球に鋭く反応。左足を振り抜いてゴールネットを揺らした。

 ガンバ大阪がかつて本拠地とした万博記念競技場でのゴール。「聖地と言われればパナスタになるかもしれないけど、中1か中2くらいまでここで試合を観ていたので、ゴールが取れたのは嬉しかった。大学に入って1、2回試合をしたけど、ゴールを決めるのは今日が初めて。右利きですが、両足で蹴れるのが自分の武器。最高です」。流れる青黒の血は今も健在だ。

 昨季2位と躍進した京産大は、今季も優勝候補の一角として期待されている。その京産大のスタメンで目立つのが、やはり出身チームの「G大阪ユース」という文字だ。この日は11人中5人。肉離れで離脱中のMF福井和樹(3年=G大阪ユース)が復帰すれば、さらに増えることになる。

 スカウトした古井裕之総監督は、G大阪ユース出身選手が揃ったのは「たまたま」だということを強調する。「良く聞かれるんですが、スカウトした選手がたまたま多かった。今年の新入生にはいないので」。

 ただ勝手知ったる選手がいることはこれ以上のないやりやすさがあるに違いない。食野も「去年は7人、ガンバ(ユース出身選手がスタメン)の時があった。俺の学年は(中野)歩と(西村)翔が中学から一緒。お互い分かっているし、(河井)哲太くんや(吉木)大喜くんや(原田)烈志くんはめっちゃいい先輩。みんな仲がいいです」と笑みをこぼす。

 3歳年上の兄と2人兄弟。兄は言わずと知れたFW食野亮太郎(エストリル)だ。家族LINEを通じて頻繁に連絡を取り合う仲。「家族の絆は深い。ポルトガルの風景の写真とかを送ってくる。開幕戦のハットトリック?親が言っていましたね。それで動画を俺が切り抜いて、どれがいいゴールやった?みたいな」。

 フィニッシャーの兄とチャンスメーカーの弟。「ライバルというより、一緒にやりたい。生かしたい。俺が生かし方を一番分かっていると思うので」。それぞれのサッカースタイルが異なることから、将来的に同じチームでプレーしたいという野望も持っている。

 Jクラブのスカウトが集結した今春のデンソーカップチャレンジでは関西選抜の一員として準優勝に貢献。ただその後練習参加などの声がかかっていないこともあり、更なるアピールが必要だと痛感している。「上のレベルを知りたいし、もっと成長したいという気持ちでいっぱい。ガンバに育ててもらった感謝はあるし、芯を作ってもらったけど、今はいろんなところでサッカーをやりたいという思いが強いです」。

 そのためにもこだわるのは数字だ。昨季はリーグアシスト王を獲得したが、今季は得点数にもこだわっていく。「大学サッカーで数字を残せる選手じゃないと、スカウトの目に留まらない。アシストは人が決めてくれないと決まらないもの。逆にゴールは自分で生み出すものなので、これからも決めていきたい」。

 8日には天皇杯京都府予選の決勝で同志社大と対戦する。本戦に進めば福井県代表、さらに勝てば名古屋グランパスと対戦できることを楽しみに、これからも一戦一戦で結果にこだわっていく。

(取材・文 児玉幸洋)
●第100回関西学生L特集

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