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「始まる前は『鳥栖大丈夫か』と…」“前評判”覆した鳥栖、5位でシーズン1/3通過

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5位につけるサガン鳥栖

[5.8 J1第12節 FC東京 0-1 鳥栖 味スタ]

 J1リーグ戦は3分の1が終わり、決して前評判の高くなかったサガン鳥栖が5位につけている。経営危機や指揮官パワハラ問題などピッチ外のスキャンダルばかりが耳目を引いてきたが、チームは川井健太新監督のもとで魅力的なサッカーを展開中。19人もの新加入選手も順調にフィットし、AFCチャンピオンズリーグ出場権争いに割って入っている。

 この日は今季ホーム無敗だったFC東京相手に1-0で勝利。ボール保持では相手に譲り渡す時間帯が続いたものの、多くのチャンスを作りながらセットプレーで先制ゴールを奪い、“試合巧者”の顔をのぞかせながら敵地で勝ち点3を奪い切った。

 試合後、中盤の一角でフル出場したMF福田晃斗は「チームとしてはうまくいっていたかというとそういうわけではないけど、素晴らしい東京さん相手で苦しい試合は想定していた中で、粘り強く戦いながら1点取れた。難しい試合だったけど粘り強く戦えたことが要因だった」と手応えを語った。

 長いリーグ戦、全てが思いどおりにいくわけではない。福田はそうした“想定外”への対応にチームの成長を見出している。「ボランチの僕が前にプレッシングにいくことが決まりごとだったが、思っていたよりそういう状況にはいかなかったので、前半早めに気づいて、準備していたものを変えた。監督の指示を待たず、チームの中で変えられたのは成長」とピッチ内での対応力向上に胸を張った。

 もっとも福田は「監督がそういうふうにさせてくれていることもある」と指揮官を立てることも忘れなかった。就任1年目の川井監督は“ほぼ総入れ替え”を強いられたチームを任され、開幕からリーグ最少7失点のチームを構築。“アグレッシブ”を標榜するとおり得点数も15を数え、得失点差は現在リーグトップの+8で、4勝7分1敗という上々の戦いを繰り広げている。

 この日の戦いを「たまに理不尽なフットボールの負けがある中、今回もそうなる雰囲気もあったが、今日の出来からすればこの勝ちは妥当だと思う。選手がよく勝ち点3を掴んでくれた」と振り返った指揮官。発される言葉から感じられるのはブレない姿勢だ。

 開幕から多くのチャンスを作りながらもフィニッシュに課題を残す中、指揮官は「ボールをゴールの中に入れること。この作業は永遠に続く。感覚的なものなのか、ロジック的なものなのか、入らないものを入るように整理する。そのルーティーンは変わらない」と述べ、あくまでも日々の積み重ねにフォーカス。その心構えはピッチ上のディテールにも及び、この日の後半2分に迎えた間接FKの大チャンスを逃した後も「GKを考えると多分入らない。ああいう局面で入ったのを見たことがないので、続けるように指示した」と冷静だった。

 そうした意識は選手たちも同様だ。今季3年ぶりに復帰した福田は「シーズンが始まる前は『鳥栖大丈夫か』と目にすることもあったし、選手たちもそういうのを見ていて悔しい。あまり気にはしていなかったけど、結果的に跳ね返せていると思う」と述べつつも、「僕たちは優勝を狙っているので、一戦一戦しっかり戦いたい」と力説。シーズンは残り22試合。新生・鳥栖はさらに大きな旋風を巻き起こしていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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