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京都でのワンチャンス活かして中3以来の代表入り…MF山田楓喜「毎日やっていることを代表でもやれたらパリも夢ではない」

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京都サンガF.C.のMF山田楓喜

 京都サンガF.C.のMF山田楓喜は、U-15日本代表の一員として欧州遠征に参加した2016年以来の世代別日本代表復帰となった。「中学3年生以来くらいの代表なので、緊張というよりワクワクして来た。いい雰囲気でトレーニングができていて、初めましての選手もいるので楽しい」。久々の日の丸に胸を躍らせながら、京都で培ってきたものを発揮していく構えだ。

 京都の育成組織で育った山田は今季がプロ3年目。昨季までの2シーズンの出場機会は天皇杯2回戦の1試合のみと、代表どころかJリーグの壁にぶち当たっていた。「1年目、2年目に試合に全く出られず、まずはチームで試合に出る、活躍することを目標にしてやってきた」。そうして迎えた今季、J1昇格1年目のチームでようやく出番を獲得。ルヴァン杯デビュー戦の鳥栖戦でプロ初ゴールを挙げると、J1デビュー戦の神戸戦でも初ゴールを記録し、そこから3試合の先発を含むリーグ戦7試合に連続出場している。

「今年からやっと試合に出だして、1年、2年たまっていたものが、悔しさが試合に結果として表れた」。ワンチャンスを活かしてたどり着いた代表の舞台。「その結果を見てくれていたのが代表。試合に出だしてからは目指していたので、結果を見てくれていたのがすごく嬉しいし、そのぶん代表で結果を残してやろうと思って来た」。苦労を重ねてきたぶん、このチャンスを活かそうという思いは人一倍強い。

 京都アカデミー時代から左足の技術やパスセンスには定評があった。しかし、プロの世界ではそれだけでは試合に出られない。「正直ユース時代はボールを持っている方が多かったので、あまり意識をしてこなかったけど、プロに入ってボールを持っているだけじゃ試合に出られないし、そこだけ見せられてもチームの勝利に貢献できないと思い始めた。取り組み始めてどんどんやってきた結果、試合に出始めてゴールにつながった」。そんな意識改革が山田に変化を及ぼした。

「ボールを持っているときは自信があるので、ずっとずっと積み上げてきたものがあったし、ボールを持っていないところでどれだけチームの仲間のサポートをできるかであったり、どれだけゴール前に入っていけるかをいろいろ取り組んできた。それが神戸戦のゴールで出たので、ボールを持っていない部分でももっと見せていけると思う」。持ち前の技術と、オフ・ザ・ボールの積み上げ。そうした努力が3年目での飛躍につながっているようだ。

 下積み時代となった日々も、いまにつながっている。

 「1年目、2年目、全く試合に出られず悔しい思いをしていたけど、毎日練習を当たり前のように全力でやったり、試合に全く出ないので、空いている時にボールを蹴ったりしていた。活躍できたらいいなと思ってやるのではなく、いつ出ても準備できてますよというのを言葉には出していないけど、プレーで毎日示しているつもりだった。いま試合に出て結果が出ているのも、チョウさんをはじめいろんな人が見てくれたからなのかなと思う」。

 チョウ・キジェ監督からは“点を取る”ことのメンタリティーを伝授されているという。「あまり多くは言われていないけど、点を取るヤツはボールを持ってないところで勝負に勝っていると言われた。そのプレーがどうこうより、そういうところが点取るやつの気持ちだよと言われて、意識し始めていた時に点が取れた」。そうした積み重ねを代表の舞台でも発揮していくつもりだ。

「正直、代表に生き残ってやるという気持ちではやらないほうが良いと思っていて、チームでやっていることを京都サンガで積み上げていることを代表でもやっていけば、必然的に代表でもパリを目指せるかなと思っている。残ってやろう残ってやろうでやるのではなく、毎日やっていることをこの代表でもやっていけたらパリも夢ではないかなと思う」。地に足をつけながらも見据えたパリの地。まずは今月末開幕のAFC U-23アジアカップへ、山田楓喜のサバイバルがここから始まる。

(取材・文 竹内達也)
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