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大宮U18が今季初の無失点と連勝。流経大柏の反撃跳ね返し、交代組の活躍で決着

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後半44分、大宮アルディージャU18はMF勇内山遥海(7番)のゴールを喜ぶ

[5.14 高円宮杯プレミアリーグEAST第7節 大宮U18 2-0 流通経済大柏高 NACK]

 大宮U18が流経大柏撃破! 14日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022EAST第7節1日目で大宮アルディージャU18(埼玉)と流通経済大柏高(千葉)が対戦し、大宮U18が2-0で勝った。

 大宮は課題の立ち上がりや得点後の時間帯に声を掛け合って引き締め、後半の勝負どころで次の1点を奪い取って勝利。森田浩史監督は「もっとできた部分はあったと思いましたけれども、今年初めて無失点で行けたことと、前節に続き勝ち点3を取れたことは選手たちがよく頑張ってくれたと思います」と選手を讃えた。

 ホームの大宮は4-4-2システム。GKが21年U-17代表候補の海本慶太朗(3年)で4バックは右SB斉藤秀輝(1年)、21年U-18代表候補のCB小澤晴樹主将(3年)、CB真壁拓海(2年)、左SB作本優真(3年)。中盤はU-17代表の市原吏音(2年)と石川洸介(3年)のダブルボランチで右SH石渡巧真(3年)、左SH種田陽(2年)、そして21年U-17代表候補FW前澤拓城(3年)と石川颯(2年)が2トップを組んだ。

 一方の流経大柏はGK木下晴喜(2年)、U-17高校選抜右SB都築駿太(3年)、CB川辺暁(3年)、U-17高校選抜CB萩原聖也(3年)、21年U-18代表候補左SB大川佳風主将(3年)。中盤は橿本心(3年)とプレミアデビュー戦のMF柚木創(1年)のダブルボランチ、同じくプレミアデビューの右SH堀川由幹、21年U-16代表候補左SH堀川大夢、前線はシャドー気味に構える竹原伸(3年)と小西脩斗(3年)がコンビを組んだ。
 
 大宮U18は10番MF阿部来誠(3年)、流経大柏も191mGKデューフエマニエル凛太朗(3年)が長期離脱中。流経大柏は加えて中盤の要・MF大沼陽登(3年)も負傷離脱した。ともにベストの陣容が組めない中で戦う序盤戦。互いに十分な結果を勝ち取ることができていなかったが、「誰が出ても変わらない、そういうクオリティを持ったチームにしていきたい」(森田監督)という大宮U18が先に立て直してきている。

 その大宮U18が、立ち上がりにリードを奪う。前半7分、市原の配球で石渡が右ハイサイドを突く。対応の遅れた流経大柏に対し、大宮U18は石渡が切り返してから左足でクロス。これをフリーの前澤が頭で合わせて先制した。

 大宮U18の小澤は、「これまで得点した後緩くなるのがあって、今週もその緩さをなくそうというのは共有していました。得点した後にみんなと声を掛け合うことができたので、最後ゼロで終えられたのかなと思っています」と頷く。

 先制した2分後に石川颯が負傷交代したこともチームを引き締めたか。大宮U18は、交代出場のMF安部直斗(2年)含めて声を掛け合いながら集中した戦い。そして、森田監督も「(もっと精度を上げなければならないが、)ボールを持つところと長いボールを使うところを前半から使い分けることができたと思います」と振り返ったように、ショートパスでの繋ぎとロングボールを使い分けながらゲームをコントロールする。

 流経大柏は都築のオーバーラップなどで反撃するが、序盤は全体的に重心が重くなってしまい、攻守両面で前への姿勢が不足していた。それでも、22分にこの日存在感ある動きを見せた1年生MF柚木が中央でDFを剥がし、竹原が右足シュート。前半半ばを過ぎると流経大柏の連続したプレッシングが大宮U18へ届くようになり、相手のキックを阻止したほか、サイドに追い込んでボールを奪い取るようになった。

 竹原と柚木のポジションを入れ替えた流経大柏は、42分にも自陣深い位置から堀川由と柚木の1年生コンビで大きく前進し、ラストパスにまで持ち込んだ。大宮U18も前澤を起点とした攻撃から安部が左サイドを突破。43分には中盤を抜け出した石川洸が大きく前進し、種田のクロスのこぼれ球に石川洸が決定的な形で走り込む。

 大宮U18は、前半終了間際にもFKからチャンス。一方の流経大柏は、後半開始から小西と堀川由をFW大堀柊人(3年)とFW斎藤大雅(3年)へ入れ替えて前へのパワーを加える。

 その流経大柏は、大川のFKがゴール前を横切るなど惜しいシーンも。大宮U18も後半8分、前線で技巧を発揮していた種田の左クロスを市原が頭で押し込むが、紙一重のオフサイドで追加点を奪うことは出来ない。大宮U18は12分、怪我の大事を取ってベンチスタートだったFW高橋輝(3年)が石渡に代わってピッチへ。18分には前澤をMF勇内山遥海(3年)へ入れ替えた。

 後半にペースを上げた流経大柏に対し、大宮U18は足を攣らせる選手も。押し込む時間を増やした流経大柏は、クロスが2本3本とゴール前へ通り、橿本のロングスローやCKも合わせて大宮U18ゴールを脅かす。

 大宮U18はこの日抜群の高さを発揮していた小澤やGK海本を中心に安定した対応を見せていたが、セカンドボールを拾われて我慢の時間帯に。流経大柏は30分、柚木と川辺に代えてDF岡本亮太郎(3年)とDF平川佳樹(3年)を送り出し、3バックに変更する。そして、より攻撃にパワーを掛けてゴールを目指したが、榎本雅大監督は「(押し込んでいたが大宮の守りを)崩せていない」。大宮U18は終盤へ向けて存在感を高めた市原が気迫のヘッドを見せるなどゴールを守り続け、推進力のある高橋らが相手を押し返していた。

 40分、大宮U18は石川洸と安部に代えてDF浅井一彦(2年)とMF依田功太(2年)を投入。流経大柏も43分に橿本をDF吉野一汰(3年)と入れ替え、もう一段階ギアを上げる。だが、大宮U18は44分、右サイドから縦に切れ込んだ高橋のクロスを勇内山がダイビングヘッドで合わせて2-0。大宮U18は、小澤が「後ろはゼロで抑えられて、途中から入った選手がアシストとゴールで貢献してくれたのは後ろとしてありがたかったです」と感謝したゴールを全員で喜んだ。

 森田監督も「上のボールはこのチームの強み」と評した高さとハードワークする姿勢を最後まで示した大宮U18は、そのまま2-0で勝利。相手の勢いの前に思うような試合ができた訳では無い。それでも、選手たちは得点を許さずに勝ち切ったことを前向きに捉えていた。

 前澤は「多分、優勝するチームというのは、あまり良くない内容のゲームだったとしても、勝ち点をどんどん積み上げていくチームだと思うので、勝ち点を稼げたのは良かったと思います。(離脱者もいる中で)できる選手が頑張ってきたことが結果に繋がってきていると思う。まだまだ(優勝の)チャンスはあるので、ここからどんどんペースを上げていきたい」。暫定ながらも5位浮上。中3日でクラブユース選手権予選もスタートする中、大宮U18は誰が出ても変わらないように全体でクオリティを上げ、白星を重ねる。
 
(取材・文 吉田太郎)
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