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大卒選手の活躍目立つ日本サッカー界に早野氏「30年前から予測していた」…天皇杯は21日開幕

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会見に出席した左から早野宏史氏、西川周作、中野雄二委員長、山下良美審判員

 第102回天皇杯の開幕会見が16日、JFAハウスで行われた。J1の18チーム、J2の22チームにアマチュアシードのHonda FC、都道府県予選を勝ち上がった47チームの計88チームによるノックアウト方式で実施する本大会は、今月21日と22日に行う1回戦で開幕する。

 毎年のようにあるアマチュアクラブの躍進が、天皇杯の醍醐味の一つとなっている。3年前は法政大がG大阪、昨年は順天堂大がFC東京に勝利するなど、大学生チームがJ1クラブを破る“ジャイアントキリング”も少なくはない。

 そしてこの大会で自信をつけた大学生が、プロ、そして日本代表といったカテゴリで活躍しているのも近年の傾向としてある。2017年度の天皇杯でベガルタ仙台を破った当時の筑波大に在学したMF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)が、カタールW杯出場を決める劇的弾を決めたことは記憶に新しい。また同遠征のメンバー27人のうち、11人が大学サッカー経験者だった。

 天皇杯実行委員長で流通経済大の監督を務める中野雄二氏は、「決して大学の環境がプロよりいいとは思っていないが、FIFAの中でも代表選手に大卒選手がそれだけ入ることは、そうはない」と日本サッカーにおける大学サッカーの意義を改めて強調。

 初出場となるノースアジア大で総監督を務める早野宏史氏も「Jリーグができたころは高校生がどんどん入ってきた。でも派手なのでいろんなところで誘われてしまう。時代は回って、大学選手の価値が上がる、4年間で培う人間性が必ず必要になってくることは30年前から予測していた。それで今があると思っている」と力説した。

 アマチュア選手のモチベーションを保つという意味でも天皇杯の役割は大きい。ノースアジア大は福島ユナイテッドFCとの1回戦に勝利すれば浦和レッズと対戦することになることもあり、早野氏は「実力差があるのは当然。その中でどうやって工夫をするか、それだと勝てないので、イケイケで行きたい。J3で好調な福島ユナイテッドFCとやれるのは光栄ですし、浦和と対戦できたら本望です」と意気込んだ。

 また今年度の大会は、ワールドカップの影響もあり、決勝は年末の開催ではなく、10月16日。場所も国立競技場ではなく、日産スタジアムで行うことになっている。ただ例年、決勝をリーグ戦終了後に行う日程が議論されるだけに、王者・浦和レッズのGK西川周作も「コンディションにはいいんじゃないかと思う。ポジティブに考えて臨みたい」と歓迎していた。

(取材・文 児玉幸洋)

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