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フランクフルトがPK戦制してEL初優勝!! 長谷部・鎌田は01-02年小野伸二以来の日本人欧州カップ制覇、来季CL初出場へ

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フランクフルトがEL制覇

[5.18 EL決勝 フランクフルト 1-1(PK5-4) レンジャーズ]

 UEFAヨーロッパリーグ(EL)は18日、スペイン・セビージャで決勝戦を行い、DF長谷部誠とMF鎌田大地と所属のフランクフルト(ドイツ)はレンジャーズ(スコットランド)にPK戦で勝利した。フランクフルトはEL初優勝で、欧州カップ制覇もUEFA杯時代の1979-80シーズン以来42年ぶり2回目。鎌田は先発フル出場でPKも成功、長谷部は後半13分からの出場で偉業に貢献し、日本人では01-02シーズンにMF小野伸二(フェイエノールト)がUEFA杯を制して以来の快挙となった。

 フランクフルトはノックアウトステージでベティス(スペイン)、バルセロナ(スペイン)、ウエスト・ハム(イングランド)を下して42年ぶりの欧州カップ決勝進出。3-4-2-1のシステムを採用し、鎌田は左シャドーのポジションに入った。対するレンジャーズはレッドスター(セルビア)、ブラガ(ポルトガル)、ライプツィヒ(ドイツ)を破って14年ぶりの欧州カップ決勝。4-3-3のシステムを敷いた。[スタメンはコチラ]

 試合は立ち上がりから激しくスタートし、前半5分にさっそくアクシデント。フランクフルトのMFセバスティアン・ローデがMFジョン・ランドストラムとの接触で頭部を負傷し、止血とユニフォームの着替えにより試合が約4分間にわたって中断した。ランドストラムは足裏がローデに入っていたにもかかわらず、警告は出されなかった。

 それでも前半12分、フランクフルトに最初のチャンスが訪れる。DFアルマミ・トゥレの浮き球パスに抜け出した鎌田がペナルティエリア内に侵入し、相手の布陣を大きく押し下げると、シュートのこぼれ球を拾ったMFジブリル・ソウがミドルシュート。だが、これはGKアラン・マグレガーにキャッチされた。

 さらに前半20分、フランクフルトはサイドチェンジを受けた20歳のMFアンスガー・クナウフが右から果敢なドリブル突破をスタート。ペナルティエリア内までえぐって左足シュートを放ったが、これはマグレガーが横っ飛びでスーパーセーブ。またしても優勢の時間帯を得点につなげることができなかった。

 するとそれまでロングボール一辺倒の攻撃が跳ね返され続けていたレンジャーズが徐々に勢いを見せる。前半26分、FWスコット・ライトからのパスを受けたFWジョゼフ・アヨデレ・アリボが惜しい左足シュート。また同37分、DFボルナ・バリシュッチのクロスに反応したランドストラムのヘッドがGKケビン・トラップを襲い、得点のにおいを感じさせた。

 試合は0-0のままハーフタイムへ。フランクフルトのサポーターが発煙筒を焚き始め、攻撃側ゴール前に白煙が立ち込めた。そうした中で迎えた後半3分、フランクフルトは縦パスを受けたMFイェスパー・リンドストロームが振り向きざまに惜しいシュート。同8分にはトラップのロングパスをローデが頭でフリックし、抜け出したFWラファエル・サントス・ボレがエリア内で倒されるも、PKを告げるホイッスルは鳴らされなかった。

 すると後半12分、フランクフルトは痛恨のミスから失点を喫した。トラップのロングキックが相手DFに跳ね返されると、これを跳ね返そうとしたソウがヘディングを試みながらも後逸。カバーに入ったDFルーカス・トゥタが足を滑らせ、奪われたボールをアリボに決められた。直後、フランクフルトはトゥタに代えて長谷部を投入した。

 フランクフルトは後半21分、鎌田のファーストプレスを起点に相手を押し込み、ボレのボール奪取から鎌田がゴール前へ。だが、GKの上を狙ったループシュートは惜しくも枠の上に外れる。それでも同24分、左サイドのMFフィリップ・コスティッチが相手を抜き去らずにグラウンダーのクロスを送ると、ニアサイドでボレが反応。ワンタッチで叩き込んで早くも同点に追いついた。

 なおも優勢のフランクフルトは後半32分、鎌田の裏抜けで起点を作り、ローデがつないでMFイェンス・ペッター・ハウゲが狙うも枠外。同35分にはコスティッチのFKが高いバウンドでゴールを襲い、マグレガーはパンチングで逃れた。同39分、レンジャーズのカウンターを受ける場面もあったが、リベロの長谷部がしっかりと立ちはだかった。

 終盤は両者ともミスが相次ぎ、勝負の行方は延長戦へ。延長前半5分、今度はレンジャーズのDFカルバン・バッセイが足を滑らせ、ボールを拾ったボレがペナルティエリア内に攻め込むが、なんとか戻ったバッセイにクリアされる。延長後半3分、途中出場のMFアイディン・フルスティッチの左足シュートは左枠外。同7分、左からのクロスに飛び込んだ鎌田がエリア内で倒れる場面もあったが、PKとはならなかった。

 延長後半13分、レンジャーズは千載一遇のビッグチャンス。長谷部の裏を突いた右サイド攻撃からMFケマル・ルーフが鋭いクロスを送り、MFスティーヴン・デイビスがワンタッチシュートを放ったが、トラップのスーパーセーブに阻まれる。さらにアディショナルタイム1分、DFジェームズ・タバニエのFKもトラップがセーブ。1-1のままタイムアップを迎え、勝負はPK戦に持ち込まれた。

 PKはレンジャーズサポーターが陣取るサイドで実施し、先攻はレンジャーズ。両チームの2人目までが決めた中で迎えた3人目、後攻の鎌田は右ポストに当てながら落ち着いてねじ込んだ。そして4人目、レンジャーズMFアーロン・ラムジーのキックはトラップが正面でセーブ。続くフランクフルト4人目のコスティッチが決めると、レンジャーズ5人目のルーフも成功したが、最後はフランクフルト5人目のボレが決めて勝負が決まった。

 PK戦を5-4で制したフランクフルトは42年ぶりの欧州カップ制覇。来季、悲願のUEFAチャンピオンズリーグ初出場が決まった。


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データ提供:Opta
※大会の公式記録と異なる場合があります

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