beacon

香港生まれで単身イングランドへ…U-19日本代表初招集のDF前田ハドー慈英「私の心は日本。本当に光栄です」

このエントリーをはてなブックマークに追加

U-19日本代表DF前田ハドー慈英(ブラックバーン)

 現地時間27日、モーリスレベロトーナメント出場のためにフランス入りしたU-19日本代表は最初のトレーニングを実施した。初招集となったDF前田ハドー慈英(ブラックバーン。2004.04.02生まれ)は「国の代表になれてめっちゃ嬉しい」と語るとおりの意欲的なプレーを披露してみせた。

 映像で試合をチェックした上で今回の招集に踏み切ったU-19日本代表の冨樫剛一監督が評価するのは、右サイドバックとしてのパワフルな攻守とハードワークの部分。実際に練習を観た上での感想としては、こう語った。

「パス&コントロールの練習などを観ていると、もしかすると日本にいたらそういう部分で『うまくないね』と評価されてしまう選手かもしれない。でも強いパスをピシッと通せるところとかをしっかり観ていくと、違うものが見えてくる」(冨樫監督)

 本人は「ストロングポイントは守備の強さだと思います。あとはゲームを読むことと、正確なパス。だけど、苦手なところも多い。攻撃的なプレーが苦手なので、練習で毎日取り組んでいます」と語るが、フィジカルレベルの違いは日本の同年代の高校生と比べても差があるのは見た目からも明らか。「あっちでは守備のフィジカルとアグレッシブさがないと通用しない。行ったばかりのころはコーチから何度も言われたけれど、今では私の強みになっている」と言う。

 元々は香港生まれで12歳までは同地で過ごし、そこから単身でイングランドに渡って寮生活を送った異色のキャリアの持ち主。ブラックバーンのセレクションを突破して同クラブに所属してからは一貫してそのチームでプレー。現在はU-18チームでプレーしているが、U-23チームでも同時にプレー。「カップ戦とリーグ戦で合計11試合に出場」しており、「フィジカルとスピードがまるで違う」U-23カテゴリーでのプレーは大きな学びにもなっていると言う。

 日本代表とのスタイルの違いに戸惑いがないとは言わない。「イギリスでは(日本がやろうとしている)プレッシングスタイルのチームがあまりなくて、ウチのチームもカウンタースタイル。でもチャレンジが好きなので楽しめています」と笑う。「大会も楽しみだけど、この経験をもってもう一度選ばれるようにしたい」と意欲を語った。

 多重国籍の前田は日本代表以外を目指す選択肢もあったが、本人の回答は明確だ。

「(他の代表を考えたことは)ありません。私の心は日本。2歳の頃から日本代表のユニフォームを着て応援していました。だから、今回代表のユニフォームを着られることは本当に光栄です」

 ちなみに憧れの選手は同じくイングランドでプレーする日本代表DFの名前を挙げた。

「富安選手はイングランドでサクセスストーリーを成し遂げました。私も同じ右SBなので、映像を毎週のように観ながら勉強させてもらっています」

 日の丸をつけ、いつか冨安のように。香港から英国へ渡って自らの道を切り開いてきた前田は、そんな夢を描きながら初めての日本代表としての試合に臨もうとしている。

(取材・文 川端暁彦)
●第48回モーリスレベロトーナメント2022特集

●【特設】AFC U20アジアカップウズベキスタン2023予選特集

TOP