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中部大一が“2大会連続”での決勝進出!! 大成をPK戦の末に下して初の総体出場に王手

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PK戦を終えたGK下村春翔(3年)を中心に歓喜の輪が広がった中部大一

[5.28 インターハイ愛知県予選準決勝 中部大一高 1-1(PK5-3) 大成高 会場未公表]

 28日、令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体 2022」男子サッカー競技愛知県予選準決勝が行われた。第1試合は大成高と対戦した中部大一高が、1-1で前後半を終えて突入したPK戦を5-3で制し、初のインターハイ出場に王手をかけた。

 昨年の中部大一は県3部リーグ所属ながらも、次々と1部リーグ所属チームをなぎ倒し、選手権初出場。格上を倒す事で得た勢いが勝因だったが、今回の勝ち上がりは勢いだけによる物ではない。全国の舞台を知る選手も多く、一冬を超えて逞しい姿へと成長した結果が、“2大会連続”での県決勝進出に繋がった。

 大成とは4月上旬に県2部リーグで対戦し、4-2で勝利しているが、今回は勝手が違う。大成は昨冬の中部大一同様、準々決勝で県1部リーグのチームに勝利し、勢いに乗っている。4月のリベンジにかける意気込みも強く、中部大一の主将を務めるFW中嶋晃成(3年)は、「やりにくかった」と振り返る。

 中部大一は自陣からパスを繋いで相手エリアへと進みたかったが、想定よりも前からボールを奪いに来た大成に苦戦。狙っていた大きな展開から、MF利田敬介(3年)と木村美斗(2年)による両翼を経由し、1トップの中嶋に入れる形も、大成の両SBに警戒されたため、上手く行かない。それでも、前半3分には左からのボールを受けたMF増田隆伍(2年)がゴール前にスルーパスを送り、利田がシュートを放つも、GK小濱大夢(2年)に足でストップされてしまう。さらに同21分にはGK下村春翔(3年)のフィードから中嶋がゴールを狙ったが、並走したDF宮脇蒼弥(3年)のスライディングに阻まれた。以降も、相手エリアに侵入したが、宮脇とDF後藤駿太(3年)を中心にチャレンジ&カバーの意識を徹底した大成DFを崩せず、前半を終えた。

 後半3分には、DF松井晴飛(2年)のフィードから放った利田のシュートが、GKの脇を射抜いたが、カバーに入ったDFにクリアされた。以降も相手エリアに攻め込みながら1点が遠かったが、同16分には再び松井のキックが右前方の利田へ。「ボールが良い形でこぼれたので、トラップして打った。敵の足に当たったけど、入って良かった」と振り返ったように、今度は冷静に決めて均衡を崩した。

 1点を奪ってからの中部大一は危なげない試合運びを見せていたが、試合終了間際の後半40+2分に手痛い失点を喫した。左から上げたクロスが小濱にキャッチされると、素早く中部大一のエリアへと展開。待ち構えたMF小林優斗(3年)が頭でDFの裏に落とすと、走り込んだMF奥田瑛飛(2年)が倒され、PKとなった。このチャンスを小林が決めて、試合は延長戦へともつれた。

 試合の流れは同点に追い付き、勢いに乗った大成に傾いたが、中部大一の選手に気落ちした様子は見られない。「今年は昨年から経験を積んでいる子が多い。こういう舞台に慣れているから、あの時間帯に追い付かれても、気持ち的に落ちなかった。普通ならガクっと来ると思うけど、なかなか逞しくなった」と称えるのは、伊藤裕二監督だ。一進一退となった延長戦を1-1のまま乗り切ると、迎えたPK戦では5人のキッカー全員が成功。1-1(PK5-3)というスコアで、白星を掴んだ。

 初戦敗退で終わった昨年のインターハイ予選とは違い、チームとしての仕上がりが良く、雰囲気も良好。利田は「(2大会連続で決勝まで進めたのは)チームの団結力のおかげ。みんながポジティブに話し合えている」と口にする。昨年の選手権は初出場の喜びと共に、初戦の大津戦で大敗した悔しさもある。「次も勝って、また全国に出たい。昨年は全国で初戦敗退だったので、今年は1勝を目標にしている」。そう利田が口にしたように、リベンジのチャンスを自らの手で掴み取る。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2022

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