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押し込まれながらも掴んだ勝利…「チーム一丸」の中京大中京、名古屋に“リベンジ”果たして決勝へ

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GK黒栁昊士(2年)と中心とした守備陣が名古屋攻撃をはね返し続け、中京大中京高が決勝進出

[5.28 インターハイ愛知県予選準決勝 中京大中京高 1-0 名古屋高 会場未公表]

 28日、令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体 2022」男子サッカー競技愛知県予選準決勝が行われた。第2試合では、中京大中京高名古屋高を1-0で下し、決勝進出を手にした。

「疲れた試合でした」と鈴村真平監督が苦笑いしたのも、無理はない。パワフルな名古屋攻撃を受け続け、5対7というシュート本数以上に押し込まれていた印象がある。危ない場面を挙げればキリがないが、ピッチに立つ選手たちが最後まで勝利への意欲と集中力を切らさず掴んだ勝利だ。指揮官は「最高のパフォーマンスを見せて、頑張ってくれました。準々決勝の東海学園高校戦を終えてから、ずっと名古屋高校戦に向けて戦術や選手の気持ちまで準備してきたのが、実りました」と激闘を終えた選手たちを称えた。

 4月上旬に県1部リーグで対戦した際は1-5で敗れた相手とあり、中京大中京としては苦しい試合になるのは想定していた。そのため、この日は普段とは違う3ボランチでスタート。前からボールを奪いに行くのではなく、4バックと共に自陣でブロックを敷いて、守備を固めるのが狙いだった。また、前線には走力に長けたMF野々部慎一郎(3年)とMF三島秀介(2年)を配置し、相手DFに易々と長いボールを蹴らせなかった。

 狙い通りのプランによって序盤を乗り切った中京大中京に強風も後押しした。風上で戦えた事でいつも以上に長いボールの飛距離が伸び、前半12分にはショートCKを左サイドで受けたMF宮澤隼(3年)がゴール前に浮き球を展開すると、ボールはそのままゴールネットに突き刺さった。「前半は風上でボールが流れるのは分かっていた。得点の場面はGKが前に出ていたのは見えていたのですが、正直あれだけ上手く行くとは思っていなかった。(入った瞬間は)夢の中というか、頭が真っ白になりました」(宮澤)。

 幸先の良いスタートを切ったものの、「良い形で点が獲れた事で相手も“やらなければ”と気持ちにスイッチが入った」(宮澤)のも事実。後半に入ってからはサイドから崩される場面が増え、ロングスローとCKで名古屋に押し込まれる時間が増えた。後半6分にはロングフィードを前線がおさめたこぼれをFW原康介(2年)が拾って、シュート。この一撃は、ゴール右上の絶妙な位置を突かれたが、クロスバーに助けられた。以降もパワフルな攻撃に手を焼いたが、「名古屋さんはロングボール後のセカンドボールに対しても、強度が高い。そういう所を抑えるための仕組み作りはしっかりしてきた」(鈴村監督)という中京大中京は最後の局面をやらせない。

 後半36分に打たれたFW米原生織(3年)のシュートはGKの逆を突かれたが、ゴールカバーに入ったDF伊藤凛人(3年)がクリア。アディショナルタイムに入ってからは、GK高野日向(3年)を上げたCKでのパワープレーを受け続けたが、GK黒栁昊士(2年)が好セーブで失点を回避。2点目こそ奪えなかったが、同40+5分にはカウンターからFW溝口絢人(3年)が狙うなど、押し込まれながらも最後までゴールを狙い続けた中京大中京が2年連続での全国行きに王手をかけた。

 選手が変わっても、全員が与えられた役割を全うするのが、中京大中京のスタイル。チームのために一丸となって戦えているのが、4試合連続での無失点勝利に繋がっている。「今日の試合は気持ちで乗り切った。ベンチ、メンバー外の選手、スタッフも含めチーム全員でしっかり身体を張って戦おうと共通認識を持てている。部員がたくさんいる中で、試合に出られるのは11人だけ。中京高校という名前も背負っているので、ピッチに立つ選手は全員の想いを持って戦おうと常日頃から意識している」。そう話すのは、勝利の立役者となった宮澤だ。決勝でもチーム一丸となった戦いで、勝利を掴み取るつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2022

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