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[MOM3867]草津東GK福田駿介(3年)_「小さいけれど…」168センチの守護神、積極的な姿勢と仲間へのゲキで決勝に導く

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完封に貢献して決勝へと導いた草津東高GK福田駿介(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.2 インターハイ滋賀県予選準決勝 草津東高 1-0 比叡山高 会場未公表]

「小さいけれど、声を大きく出し、大きな姿を見せながらやってくれている」。草津東高の牛場哲郎監督が、比叡山高との準決勝で称賛したのはGK福田駿介(3年)。168cmの身長は、GKとして小柄だが、試合で見せる存在感はとてつもなく大きく、頼りがいがあった。比叡山の迫力ある攻撃にも、綻びを見せることなく、無失点で抑えられたのは彼が最後尾にいたから。その活躍ぶりは、まさに守護神と呼ぶのに相応しかった。

 サイズを補う以上の魅力を彼は持っている。自身が足りない部分を認識しているのは強みだ。福田はこう口にする。「自分は思い切りの良さで戦うしかないと思っている。自分の積極的な所を出して行きたい」。背後に落ちたボールに思い切りよく飛び出し、クリアしていく場面が立ち上がりから目を惹く中、前半14分にはゴール前にフリーで抜け出したMF松田京斗(3年)のシュートを足でストップ。後半に入ってからはロングスローとCKで攻勢を強めた比叡山に対して、果敢に前に出てパンチングを繰り返した。

 もう1つの売りは、コーチング。この日は熱中症対策もあり、前後半にそれぞれ2回飲水タイムがとられた。また、試合中の接触により、プレーが途切れる場面も多かった。そうした際は、「後ろの選手がやり続けられるよう、コーチングは意識している」と口にする福田の出番。「切らすな」「集中しろ」「ここが大事だ」といった声掛けによって、チームは集中力を保てた。

 そうした彼の声掛けによる効果は選手に留まらない。判定に不服な様子を見せるチームメイトをなだめる声かけによって、つい熱くなりがちな牛場監督に冷静さを取り戻させる効果もあるという。「レフェリーに言ってしまいそうになる時に、僕に対して『言うな!』と言ってくれているように感じる」と牛場監督は笑う。

 頼もしい姿を見せる福田だが、定位置をつかんだのは3月末になってから。これまでは同学年にいる189cmのGK西野勇太(3年)がファーストチョイス。昨年度の選手権も福田は登録メンバーから外れたが、西野は登録メンバーに入っていた。新チームとなってからも序列は変わらなかったが、「常に奪ってやると思っていた」という福田は練習で好調を維持。3月末のプーマカップで出番をつかんでからは、一気にまくし上げた。「西野が高さで勝負している分、コーチングやカバーリングで戦っていくべきだと思っている」と話すライバルの存在は、双方の成長にとって大きいのは間違いない。

「今日みたいな試合を自分で作れるのがGKの魅力。しんどい事も多いけど、今日の試合でも、後半に1個止めたり、チームの勝利に貢献できた時が嬉しい」。そう口にする福田が主役となるチャンスは、今大会もう1試合残っている。「決勝でもやっぱ勝利に貢献したい。目の前のワンプレー、ワンプレーに集中するのが自分の中で大事だと思っている。あまり先の事は考えず、目の前のワンプレーをしっかりやり切る事にこだわってやっていきたい」。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2022

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