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[MOM3889]東山MF阪田澪哉(3年)_J内定選手が圧巻ハット!! “託された役割”を果たし、全国へと導く

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決勝でハットトリックを達成した東山高MF阪田澪哉(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[06.05 全国高校総体・京都府決勝_東山高 5-0 京都精華高 太陽が丘陸上競技場]

 全国大会への出場権を掛けた試合で輝きを放ったのは、セレッソ大阪への入団が内定している東山高MF阪田澪哉(3年)。ハットトリックの活躍でチームを勝利に導いた。

 試合への入り方は固さが見られたが「プレッシャーもある中、先制点が決まったことで気持ちが楽になった」ところからゴールラッシュが始まる。1点目は前半32分、最終ラインからのロングフィードにあわせて相手DFラインの背後へ飛び出すと、前に出たGKも抜き去って無人のゴールに流し込んだ。2点目はロングスローを味方選手が空中戦に競り勝って流したボールを押し込み、3点目は左サイドからGKとDFの間に供給されたクロスに、DFの間を抜けてフリーとなって押し込んでいる。

 この試合で阪田が起用されたポジションは、いつもの右サイドハーフではなくFWだった。福重良一監督は、FW北村圭司朗(3年)と阪田の位置を入れ替えて決勝戦に臨んでいる。阪田に託された役割は、自慢のスピードを前線で発揮すること。相手DFの背後のスペースを突く、もしくは2トップのパートナーで高さや強さがあるFW豊嶋蓮央(3年)がフリックしたボールへ反応することで、相手DFを攻略しようとした。実際に1点目は裏抜けから、3点目は背後へのクロスから得点が生まれており、チーム最多となる5本のシュートを記録している。「前線でも特徴を生かすことができた。準決勝では得点することができなかったので、この一週間は自分が得点を決めてチームが勝つことをイメージしてきた」という思いを、見事に実現してみせた。

 ただ、チームメイトがそうであったように、阪田も大会5試合を通じてのパフォーマンスに満足はしていない。昨年度の全国大会での活躍やプロ入団内定選手ということで、相手から警戒されて対策も講じられる中、スピードや突破力といった持ち味は発揮しているし、相手の脅威になっている。それでも『もっとできるのではないか』という期待があるのも事実だ。キャプテンのDF新谷陸斗(3年)も「(阪田)澪哉の存在は東山の強み。彼に頼りっぱなしにならないようにしたいんだけど」と前置きした上で、「準決勝の京都橘戦で2人に対応されたとき、なかなか打開できなかった。そういう時こそ相手を崩せるようになって欲しいし、それができる選手」とポテンシャルの高さを説明する。阪田自身も「1対1の仕掛けはもっと伸ばしていきたい。福重監督から言われているのは、一度ドリブル突破を狙って止められたとしても、引かずにトライし続けること。そこはやり続けないといけないと僕も感じています」と課題と向き合っている。

 また、チーム全体にも言及しており「前半の試合の入り方、それに後半も得点するまでは良くなかった。まだまだチームの一体感が足りない。流れが良くないときに、どれだけピッチ上の選手で声を出し合えるか。今日の後半は声が出せていなかった」と指摘している。12得点を奪った3回戦・福知山戦後にも「得点は取れたけれど、課題もある。チームとして戦えないと高いレベルの試合では勝てないし、大会初戦から積み上げていく必要があります」と先を見据えていた。

 以前は細さを感じた身体には変化が見られる。筋トレは以前から継続しているが、朝と昼の間に補食をとるなど食事面を見直した結果、去年と比べて1.5キロから2キロ弱ほど体重が増加。フィジカル面が向上している。「スピードを落としたくないので、今の状態をキープしたい」と話している。

 今季から背負う10番は阪田とMF真田蓮司(3年)が希望したため、あみだクジの結果、阪田に託されることになった。中学生の頃にプレーした宇治FC以来の背番号10に「ひさしぶりですね」と笑顔を見せる。京都を代表する選手となりプレッシャーはあるが「自分らしさをプレーで表現すること。去年もそうしてきたし、プロに行く選手という目で見られるからこそ、誰よりも高い意識で取り組んでいきたいです」と口にしている。今大会は決勝戦だけでなく、早い段階からC大阪のスタッフが視察を重ねており、期待の高さを感じさせる。京都を代表する選手から、全国を代表する選手へ。その階段を着実に歩んでいる。

(取材・文 雨堤俊祐)
●【特設】高校総体2022

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