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[MOM3892]大津MF浅野力愛(3年)_勝ち残るために磨いた守備、ハードワーク…今年も「6」は欠かせない

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献身性を発揮して大津高を支えるMF浅野力愛

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.8 インターハイ熊本県予選決勝 大津高 5-0 慶誠高 えがおS]

 決勝初進出の慶誠高にシュート29本を浴びせて5得点。攻撃陣が目立つ展開の中、自分の役割を70分間継続して見せた。ダブルボランチの下がり目の位置で走り続け、スペースを埋める力や、前に出てボールを奪う力、展開力も発揮。大津高の山城朋大監督は、「泥臭さというか、彼の人間性がすごく表れた試合で、良いプレーでした」とマン・オブ・ザ・マッチにMF浅野力愛(3年=レタドール熊本SC出身)を指名した。

 浅野は「自分は守備の人間なので、日頃からみんながキツい時に自分が走ったり、チームに貢献するプレーを心掛けているので、自分のいつも通りのプレーができたと思います。カウンターが結構相手も効いていましたけれど、下げずにボールを獲ってということを強いチームはやっていることなので」。序盤で2点をリードする展開だったが、緩めることなく前への意識を継続。試合のどこかで相手に流れが行くことも想定しながら動いたボランチは、自らボールを奪い取ってシュートを放つプレーがあった一方、要所を封じて被シュート3、CKを1本も与えずに試合を終えた。

 その浅野に対してU-17高校選抜のドリブラー、10番MF田原瑠衣(3年)は「守備や(セカンドボールの)回収のところで本当に助かっていて、本当にチームに欠かせない選手」と感謝する。

 中学時代は田原のようにドリブルなどが得意な攻撃的な選手で、味方に「出せ」とボールを要求し、仕掛けて行く選手だったという。だが、競争を「勝ち残っていくために」守備的な選手へ移行。自分の才能を見出してくれた平岡和徳総監督や山城監督に感謝する。

 攻撃時にDF間へ割って入って行く良さやプレースキック、ロングボールの質の高さも残しつつ、意識して高めてきた運動量や守備力、スペースを見つける感覚を発揮。昨年のチームの要、日本高校選抜MF薬師田澪(現法政大)からボランチのポジションと背番号6を受け継いだ浅野は、先輩とはまた異なる特長を発揮しながらチームを支えている。

「薬師田さんは本当に巧かったので。自分にはその巧さがないので、もっと薬師田さんよりも走らないといけないし、戦わないといけないと思っています」と浅野。一方で、「まだまだですけれども、アジリティや試合終盤になっても動けるところや奪えるところは、薬師田さんよりもやれる自信があります」と磨いてきた自分の強みにも自信を持ち始めている。

 試合を見ることが「凄く好き」という浅野は、レアル・マドリーやリバプールの試合映像を見て、ゲームの運び方や流れの掴み方、どのようなことが起こるとスペースが開くのかなどをチェック。また、選手権準優勝した先輩たちからは、一人ひとりの意識の高さや団結力を学んだ。声を出してチームを引き締めることができると自認する「6」は、昨年度のチームを『超越』するために声や運動量という長所、そして学んできたことを表現し続ける。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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