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[MOM3916]旭川実MF渡辺健斗(3年)_敵の囲いから左足一閃で決勝点、1G1Aで全国切符つかみ取る

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警戒される中、完璧な左足のシュートで決勝点を記録した旭川実高MF渡辺健斗(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.17 インターハイ北海道予選準決勝 旭川実高 2-1 札幌創成高]

 全国高校総体(インターハイ)の北海道大会を制した旭川実高には、攻撃のけん引役となるレフティーがいる。全国切符をかけた準決勝は、MF渡辺健斗(3年)が1得点1アシストの活躍を見せた。

 前半15分、右CKのキッカーとして先制点をアシスト。後半開始早々に同点に追いつかれたが、このゴールが渡辺の闘志に火をつけた。同点ゴールを決めたのは、SSSジュニアユース時代のチームメートである札幌創成高FWディアロ航(3年)。後半から投入されたばかりだったが、見事なカットインシュートを決められた。渡辺は「元チームメートに点を取られて燃えた。自分も決めてやりたいという気持ちになった」と刺激を受けた。

 しかし、すでに昨年も主軸として活躍している渡辺の左足は、常に警戒されており、なかなか好機を得ることができずにいた。一進一退となった後半、均衡を破ったのは、渡辺の左足だった。後半10分、敵陣でセカンドボールの回収に成功すると、相手3人に囲まれながらも左足でボールを持ってシュートコースを確保。しっかりとコントロールの効いたシュートがゴール左へ突き刺さった。渡辺は「この試合では、左足を警戒されていた。前半はうまく自分の形を作れなかったが、あの場面では自分の形が作れた。だいぶ均衡した試合の中で、自分が決められて嬉しかった」と完璧な一撃を振り返った。試合は無観客開催だったが、試合を見守った控え部員から思わず「おおっ」とどよめきが生まれるスーパーゴールは、決勝点となった。

 左足のキックだけでなく、対人戦の突破、フィニッシュに持ち込む力にも定評がある。すでに有力大学が関心を示している選手だが、全国大会はアピールの場になる。「道外の強豪大学でサッカーを続けたいと思っているので、良いチームから声をかけてもらえるように頑張りたい」と意気込みを語った。チームとしても昨年より攻撃面では厚みがあり、そのけん引役として大きな期待がかかる。

 ただし、チームとしては首位を走るプリンスリーグでも6試合で15得点7失点と失点が多く、守備面は改善の余地がある。左サイドMFを定位置とする渡辺は、攻撃面の役割が大きいが、守備面で穴を空けるわけにはいかない。「守備は、昨年からできていないと監督から言われ続けているので課題。チームの中で守備が上手い選手のプレーをよく見て参考にしている」と改善に努めている。攻守両面で左サイドを制する活躍を全国大会で見せられれば、チームとしても個人としても躍進が見込める。

 チームとしての目標は、過去最高となる全国4強入り。「チームでも、個人でも結果を出して、全国優勝を狙っていきたい」と話したレフティーの躍進なしに、目標達成は難しい。全国でさらに強い輝きを放てるか、注目の存在だ。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校総体2022

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