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[MOM3924]山梨学院MF小棚木蒼大(3年)_憧れの白崎先輩から貰った言葉を大切に

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.19 インターハイ山梨県予選決勝 山梨学院3-0駿台甲府 韮崎中央公園陸上]

 狙い通りのゴールだった。雷鳴交じりの小雨が降り出した後半3分、センターサークル付近でボールを持ったMF小棚木蒼大(3年)が、そこから思い切って左足で狙う。「前日の試合の映像を撮った1年生から、GKが前に出てくると聞いていました」。大きな放物線を描いたシュートは、見事にゴールマウスを捉えた。

 さらに雷雨中断を挟んで迎えた後半18分には、小棚木はMF伊藤優作(3年)の突破から生まれたこぼれ球に詰めて追加点を奪う。「うちのウイングは1対1が強いので、突破したら必ずクロスを上げてくれる。信用して走っていたことが良かったと思います」。決勝の2発は、4年ぶりのインハイ出場を決定的にした。

 小棚木は鹿島アントラーズのジュニアユース出身。しかしユース昇格が叶わなかったことで、山梨学院に進学してきた。そんなころ、知り合いを通じてある選手からサインとメッセージが届けられた。『サッカーを楽しめ』。山梨学院のOBで、鹿島でプレーしていたFW白崎凌兵(現清水)からだった。

 何気ない言葉だが、山梨学院のレジェンドとも言うべき選手からの言葉は、小棚木少年の不安を一気に打ち消した。「部屋の常に見えるところに置いてあって、自分のモットーにしています」。白崎先輩の耳に届くほどの活躍をしたい。3年間の大きな目標になっった。

 山梨学院には「日本一に一番近いチームと感じていた」ことで進学を決めた。小棚木が入学した初年度には高校選手権で決勝まで勝ち上がると、青森山田をPK戦の末に下して、11年ぶりとなる2度目の優勝を果たした。

 コロナ禍での開催で、決勝まで無観客で行われたが、小棚木はサポートメンバーとして帯同。担架要員として現場で日本一の空気を味わうことができた。

 後輩たちにその空気を味わわせてあげたいし、あげなければいけない。「個人的にも日本一になりたいです」。強い使命感に燃えながら真夏の決戦に挑む。
 
(取材・文 児玉幸洋)
●【特設】高校総体2022

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