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桐光撃破、日藤と1点差勝負…。激戦区・神奈川で川崎市立橘が堂々の戦い

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後半39分、川崎市立橘高FW高村桜輝が右足シュートを決めて1点差

[6.18 インターハイ神奈川県予選準決勝 日大藤沢高 2-1 川崎市立橘高]

 全国進出を懸けた準決勝で敗れたものの、川崎市立橘高は堂々の神奈川3位。県立の川和高を関東大会優勝(13年)、神奈川県選抜を国体制覇(14年)へ導いた山本義弘監督の下、年々力を付けてきている市立高校が準々決勝で19年日本一の桐光学園高を撃破し、準決勝でも17年全国2位の日大藤沢高に食い下がった。

 前半先にリズムを握られ、17分にセットプレーから失点。さらに25分にもカウンターから追加点を奪われてしまう。痛すぎる2点ビハインドとなったが、守備から安定させて後半に反撃を加速。チームの特長でもある丁寧なビルドアップからサイドの高い位置を取って崩しに持ち込み、エースFW高村桜輝(3年)やMF田中優太郎(2年)、交代出場のFW吉岡那都輝(3年)が鋭くゴールへ迫った。

 また、横浜FCの早川知伸ヘッドコーチを父に持つMF早川旬(2年)が左足のパスで攻撃の起点に。複数の主軸を怪我で欠いている中での準決勝だったが、山本義弘監督が「きょうはよく集中してやっていたと思う」と評した早川や突破力秀でたFW板倉幹汰(2年)ら下級生も奮闘していた。

 最後の崩しの精度が上がらず、1点が遠かったものの、終了1分前の39分に板倉の落としから高村が右足でゴールを破って1点差とする。セットプレーなどからもう1チャンス、2チャンスを作ろうとしていたが、同点に追い付くには残り時間が短すぎた。

 偶発的な部分に期待するのではなく、磨いてきた技術力や判断力、そしてサッカーの原理原則を表現する形で強豪に挑戦。ただし、緊張もあってか、普段通りのプレーが十分にはできなかったようだ。山本監督は「サッカーして何とかしたいと、運もあってここまでこれた。やりきるだけの個と私の指導の問題もあると思うんですけれども、(全国大会に出場するには)レベルが足りないです。もっともっと具体的に、明確に伝えて、もっと彼らが思い切りできればと思います」と語った。

 強豪私立高に比べると選手層に差があることは確か。それでも、全国切符獲得へあと一歩まで迫った市立橘が、より力を磨いて選手権で再び激戦区・神奈川突破に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
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