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[MOM3928]帝京DF藤本優翔(3年)_幼馴染の青森山田エースも意識して肉体強化。昨夏以来の先発復帰戦で躍動

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帝京高CB藤本優翔は10か月ぶりのAチーム先発で好守。1-0の勝利に大きく貢献した

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.19 インターハイ東京都予選決勝 関東一高 0-1 帝京高]

 昨夏、インターハイ開幕直前に右足前十字靭帯断裂と半月板損傷の大怪我。諦めずに努力を重ねてきたCBが逞しくなって帰ってきた。この日、帝京高のゲーム主将を務めたCB藤本優翔(3年=FC東京U-15むさし出身)は、大怪我を乗り越えて10か月ぶりとなるAチームでの先発出場。試合終盤の競り合い直後に足を攣らせて交代したものの、それまでDFラインを統率し、好守を連発した。

「自分の存在価値を出していかないと、インターハイのメンバーには絶対に生き残れないと思っていたので、球際の部分や声の部分は人一倍出して、ピッチの中で一番目立とうと思っていました」と藤本。チームメートを声で動かしつつ、自信を持つヘッドや球際での強さを発揮した。

 藤本は「周りを動かすことと、チームを鼓舞して前向きに行けた」と振り返る。関東一高は後半13分に注目エースのFW本間凜(3年)を投入。フレッシュな状態で運動量を増やしてきたストライカーは厄介な存在だったが、「2度追い、3度追いして来る中でCBの田畑(勲)と一緒に集中して、ブラさずに頑張っていけたかなと思います」。途中交代したことを反省したものの、交代直前に本間へ入って来たボールで競り勝ったことを自身でも評価していた。

 今大会準々決勝の國學院久我山高戦が復帰戦。4-1と突き放した延長後半に仲間たちのお陰でピッチに立つことができた。そして、決勝で自分に再び出場機会を与えてくれたチームメートたちに感謝する。先発復帰戦で奮闘した藤本について、日比威監督は「(マン・オブ・ザ・マッチは) 藤本だね」と高評価。彼の復調によって、DFラインのバリエーションをより増やせることも喜んでいた。

 幼馴染を意識して取り組んできた肉体強化の成果も表現した。藤本は青森山田高(青森)の注目エースFW小湊絆(3年=横浜FCジュニアユース出身)と地元が同じ東京都品川区。「(所属チームは違うが、)品川区で小学校の低学年から一緒に(トレセンなどで)サッカーをやっていた。チームもよく試合していて遊んだり、帰省した時は会おうと」。その旧友を意識し、サッカーができない期間に目指したのが、“超高校級”と言われる青森山田レベルの肉体だった。

「(小湊と)連絡していても、ベンチプレスを上げているという話だったので、それに負けないという感じで90kg上げれるようになりましたし、肉体改造は(系列の)帝京科学大学の学生が一緒についてやってくれるんですけれども、自分の足りないところを見てもらえたりして体のボリュームは上げられました」

 負傷した頃に比べて体重は4kg増え、筋肉量も向上。胸周り、肩周り、尻周りも明らかに大きくして戻ってきた。復帰して感じているのは、「当たった時の感覚で『勝てる』という自信があるので、そこはもう負けません。(小湊にも)当たって勝ちたいです」。それでも「(周囲には)プロレスラーとか言われるんですけれども、山田に比べたらまだまだなので、もっと高めていきたい」とさらなる強化へ貪欲だ。

 支えてくれた人たちのためにも、目指している姿がある。「インターハイはメンバーに入ることがまず目標なんですけれども、色々な人が見に来ると思うので、勇気づけるプレーがしたい。自分はジュニアユースの時にFC東京に入っていて、『強く愛される選手』というのは帝京高校入ってからも意識してきたことなので、ピッチ内でも、ピッチ外でも見本になるように頑張っていきたい。日本一になって部員や学校に恩返しできたらと思っています」。諦めず、逞しい姿となって復帰してきた藤本が、チームメートの見本となるような努力を続け、全国のピッチでも躍動する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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