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[MOM3933]履正社FW古田和之介(3年)_ガンバ育ちの「献身と奔放」を兼ね備えたストライカーが1G1Aで勝利の立役者に!

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履正社高のストライカー、FW古田和之介はこの日もきっちりゴールを記録

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.2 高円宮杯プレミアリーグWEST第11節 履正社高 3-1 大津高 J-GREEN堺 天然芝フィールド(S5)]

 チームを最前線で牽引する9番の背中は、実に頼もしい。果敢に相手ディフェンダーへプレッシャーを掛け続け、ボールを受けたらドリブル勝負。爽快感すら漂うプレースタイルにこの男の魅力が凝縮されているが、強烈な自分に対する自信も持ち合わせているのも興味深い。

「今は(名願)斗哉がドリブルで注目されがちですけど、実際に今のチームで一番点を獲れているのは僕ですし、そういうところではアタッカーとしての質としてアイツに全然負けていないというところを、違う形で見せていきたいと思っています」。

 献身性と奔放を高次元で兼ね備えている履正社高(大阪)のストライカー。FW古田和之介(3年=ガンバ大阪ジュニアユース出身)は、チーム内のライバルも意識しつつ、さらなる自身の成長に余念がない。

 いきなりのビハインドにも、焦りはなかったという。大津高(熊本)と対峙したプレミアリーグの前半戦ラストゲーム。開始3分で先制点を許したものの、「自分たちはプレミアリーグで失点していない試合がないということで、立ち上がりから守備の部分で締めて、相手のやりたいことはやらせないようにと言っていたんですけど、結果やられてしまって……。でも、1失点しても取り返せる自信はありました」と古田。その言葉を、自らのプレーで証明してみせる。

 31分。左サイドでボールを受ける。「自分がサイドに流れた時は、基本ボランチもサイドハーフも自分を見てくれるので。誰からのパスかは覚えていないですけど(笑)」。一気に加速してマーカーを振り切ると、そのまま右足一閃。軌道はゴールネットへ力強く突き刺さる。

「僕の場合は『五分でも勝負に行け』ということなので、練習から利き足の右足のシュートは確実に決められるように意識してやっています。いつもだったら最後に力んでしまうんですけど、今日は練習通りにリラックスして、落ち着いてコースに蹴れました」と笑った9番のゴールで、履正社は同点に追い付く。

 勝利を決定付けたのも、この男の柔らかなアシストだった。2-1とリードして迎えた後半41分。「まず左サイドで(西坂)斗和と(加藤)日向が上手く崩して入ってきてくれて、ボールを受けた時にゴールを見たら打てたんですけど、斗哉も見えて、『どうしよう』って。でも、斗哉の方がゴールの確率が高そうでしたし、ワンタッチで打てるボールを、ループで決めるところまでイメージできたので」右へ丁寧なラストパス。走り込んだMF名願斗哉(3年)は華麗なループシュートで、貴重な3点目を記録する。

「本当は打ちたい気持ちもありました(笑)」と言いつつも、チームの結果を最優先するあたりはキャプテンマークを巻くリーダーらしさか。「なかなかギリギリで勝てないという、“ちょっと”のところの差が自分たちにはあるということで、練習からその“ちょっと”を変えるために覚悟を持ってやろうということは自分を中心に発信していて、その“ちょっと”の部分の変化で、押し込まれていても今日はやられなかったのかなと思います。そう信じたいです(笑)」。6試合ぶりの白星を挙げたチームに、みんなの笑顔が弾けた。

 今シーズンはとにかく楽しみにしていた試合があった。プレミアのガンバ大阪ユース(大阪)戦は、ジュニアユース時代に青黒のユニフォームに袖を通していた古田にとって“古巣対決”であり、かつての仲間とピッチ上で“再会”できる最高の舞台。昨年末に昇格を決めてから、その時が来るのを待ち侘び続けてきた。

 他にも名願、DF東尾大空(3年)、DF加藤日向(3年)と3人のジュニアユース出身者とともに挑んだゲームは、5-2の快勝。「あの試合はほとんど相手チームも知り合いで、南野遥海もライバル視しているところもあったので、アイツにやられず、自分が点も獲りましたし、アシストもできて、成長した姿をちょっとみんなに見せられた上にチームも勝ったので、とても嬉しかったです」。1ゴール2アシストの古田に、加藤も2ゴールで続き、名願もきっちり1得点。最高の形で古巣に成長を見せ付けることに成功した。

 世代最高峰のリーグで着実に力を付けつつあるチームには、激戦区の大阪を勝ち抜いて出場権を掴んだ、真夏のインターハイが待っている。「去年もインターハイと選手権は行けなかったですし、1年の時はスタンドから選手権を見ていたので、個人的に全国大会は初めてなんですけど、毎週末プレミアリーグで全国大会レベルの試合をさせてもらっているということは間違いなく自分たちのプラスになっていると思いますし、個人としても今は点も獲れていて、波に乗り始めていて、自信も付いてきているので、インターハイでは日本一を目指してやっていきたいです」。

 攻守に戦えるナンバー9。古田の躍動が全国でも履正社躍進のカギを握っていることに、疑いの余地は微塵もない。

(取材・文 土屋雅史)
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