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[MOM3940]昌平DF上原悠都(1年)_“持っている”1年生SBが全国大会初戦で公式戦初ゴール!

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先制点を挙げて勝利に貢献した昌平高の1年生DF上原悠都

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.24 インターハイ1回戦 昌平高 3-0 生駒高 徳島スポーツビレッジピッチB]

 高校入学後の公式戦初ゴールを、この大事な全国大会の初戦に持ってくるあたりに、持っている星の強さを感じずにはいられない。ただ、話す口調はまだまだ15歳のそれ。そのギャップも実に微笑ましい。

「コーナーは(津久井)圭祐とか(石川)穂高が点を決めるイメージがあって、自分は相手を邪魔する感じだったんですけど、たまたま自分を越えて、後ろの子に当たってこぼれて、たまたま自分の前に来て、チョンと触ったら入っちゃったみたいな感じでした。嬉しかったです」。

 U-16日本代表候補にも選出されたばかりのライジングルーキー。昌平高(埼玉)の右サイドバック。DF上原悠都(1年=FC LAVIDA出身)が得点という確かな成果で、チームの初戦突破に貢献してみせた。

「初戦ということもあって、全国大会も高校になって初めてですし、自分も含めて入りは緊張もあって、全然上手く入れなかったです」。上原の言葉を待つまでもなく、チームには緊張感が間違いなく漂っていた。その中でも2つのチャンスを掴んだものの、どちらも相手GKのファインセーブに阻まれる。まだ序盤とはいえ、少し嫌な空気が漂い出したタイミングで、この1年生の“得点感覚”が突如として輝く。

 前半12分。MF荒井悠汰(3年)が蹴った右CKは、ゴール前にこぼれる。敵味方が入り乱れる混戦の中で、3番が目の前に現れたボールを夢中で押し込むと、緩やかな軌道はそのままゴールネットへと到達する。「自分でゴールを獲れたのは凄く嬉しかったです」と笑った上原に、群がって頭を叩く“先輩たち”。実はこれが高校に入ってから初めて手にしたゴール。喜び方のぎこちなさに、その“意外性”が窺えた。

 ところが、「そのあとも前半はそんなにうまく行かなくて、ゴールを決められたけどうまく乗れなかった感じでした」とは本人。チーム自体もいつもの攻撃のテンポがなかなか出てこない中で、自身もしっくりこない感覚を持っていたという、

 それでも、ハーフタイムを挟むと「後半は身体が軽くなりましたし、やることを整理したことで切り替えがうまくできました」とようやく本来の持ち味を披露。藤島崇之監督も「彼の粘り強さは出ていましたね。しっかりとしたディフェンスの対応もやりながら、運動量も充実していますし、それが1つの自信になって、明日も良いパフォーマンスが見られれば良いかなと思います」と一定の評価を口に。後半途中で交代したものの、ゴールまで記録する堂々の“全国デビュー”を飾ってみせた。

 前述したように、この7月にはU-16日本代表候補合宿に追加招集で参加。「森山(佳郎)監督や中村憲剛さんの話を聞いて、身体作りやトラップとキックの大事さもしっかり学べましたし、周りの選手との意識の違いも生で見られたので、そこは大きな経験になったかなと思います。最終日の市船との試合で自分の守備が結構通用して、ほぼ抜かれることもなかったので、そこは自信になりました」と、同世代のハイレベルな選手たちと肌を合わせたことで小さくない刺激を得てきた。

 タレントひしめく強豪の中で、1年生ながらレギュラーを掴んでいるだけあって、周囲からの期待も俄然高まってきているものの、本人の地に足の付いた雰囲気は何とも頼もしい。

「まずは圭佑と悠汰に迷惑を掛けないようにしたいです。自分は守備が基本の選手だと思いますし、『相手に抜かれない』とか『1対1をしっかりやる』とか、そういうことを毎試合集中してやりたいですし、今日は攻撃参加やオーバーラップが少しはできたと思うので、そういうところをまずは1試合で何本も続けて、それを毎試合続けて、少しでも攻撃に関わっていけるようにしたいです」。

 真夏の徳島はさらなるブレイクスルーのステージか。埼玉の精鋭集団に、彗星のごとく現れた1年生サイドバックから、目が離せない。

(取材・文 土屋雅史)
●【特設】高校総体2022

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