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[MOM3956]矢板中央MF田邉海斗(3年)_先制ヘッドに加えデュエルの強さも発揮。“弱い”世代を変えたリーダー

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矢板中央高のキャプテン、MF田邉海斗は攻守両面で推進力ある動き。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.26 インターハイ3回戦 矢板中央高 1-1(PK5-4)東山高 鳴門大塚]

 自分にも、仲間にも厳しく接するキャプテンが、チームに新たな歴史を築いた。矢板中央高(栃木)は前半4分、左SB木村匠汰(3年)が右サイドからゴール方向へライナー性のボールを投げ込む。これをGKの前に入ったMF田邉海斗(3年=さいたま市立原山中)が頭でそらし、先制ゴール。C大阪内定MF阪田澪哉(3年)をはじめ前回大会8強の経験者を数多く残す東山高の出鼻をくじいた。

 木村が「(ロングスローでは)もう、自分は田邉に合わせてみたいな。アイツに投げればそらしたりやるんで、信頼しています」と投じたロングスロー。“ホットライン”から見事に決めた田邉は「ずっとインターハイで狙っていた形だったので、良い形で獲れて、流れをこっちに持ってこれたので良かった」と頷く。貴重なゴールを決めた田邉はその後も攻守で存在感を放った。

 13分には再び木村の右ロングスローから、今度は身体を捻りながらヘディングシュートを放つ。これはクロスバーをヒット。連発とはならなかったが、「中学生の時から空中戦の部分とか、フィジカルで相手を圧倒するのは得意だった」という田邉はデュエル勝負で抜群の強さを発揮する。個々の技術力高い東山にボールを握られる時間が増えていたが、局面での力強いアプローチからボール奪取。推進力のある縦への動きでカウンターの起点にもなっていた。

 シーズン開幕前、「チームを鼓舞しながら勇気づけるプレーや身体を張るプレーを自分はできるのかなと思います」と語っていた田邉は背中でチームを牽引して勝利。“弱い”と言われていた世代をインターハイで初の8強へ導いた。

「自分にできることは何かなと考えた時に走ったり、ボール奪取したり、そういう武器でチームを引っ張っていける存在にはなれるようにずっと1月からやってきていたので、そういう部分を含めてインターハイでこういう形として結果を出せたのは良かった」

 “弱い世代”を勝つ集団に変えたのが田邉だ。「練習から手を抜いたりするのは止めよう、声掛け合ってやろうというのは話していたことなので、そういう一つ一つの細かい部分も見つめ直してやっていこうというのは全員の共通意識としてあったので、そういうことがこのインターハイで一つの成果として出てとても嬉しいです」と胸を張る。

 木村によると、田邉は「本当にいつもみんなに厳しくて、自分にも厳しくて、みんなからいつも信頼されていて凄いなと自分もいつも思うし、時に厳しい言葉を掛けてくれて本当にキャプテンらしいなと思います」というリーダー。自分にも、仲間にも厳しいリーダーはこの勝利で満足することなく次へ向かう。

 準々決勝の対戦相手は隣県・群馬の代表校でV候補の一角、前橋育英高。「強いのは承知の上でルーキーリーグも0-1で負けているので、その借りは返しに行きたい。絶対に勝てない相手ではないので、チーム一丸となって勝って4強に入りたい」。高橋健二監督のいう「強い仲間意識」で結ばれたチームを攻守で引っ張り、新たな壁も乗り越える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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