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[MOM3964]米子北FW小橋川海斗(3年)_大きな影響及ぼした先制点。前線でライバル、憧れの先輩に負けない動き

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米子北高のFW小橋川海斗は前線で存在感のある動きを見せて1ゴール1アシスト

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.28 インターハイ準々決勝 湘南工科大附高 0-3 米子北高 JAアグリあなん陸]

「きょうは良い意味で調子に乗れたというか、継続できたので良かったと思います」。米子北高のFW小橋川海斗(3年=ヴィクサーレ沖縄FC・Jrユース)は前半、2試合連続の先制点に加え、絶妙なヘディングでのアシスト。後半開始前に中村真吾監督から「調子乗らないで、最後までしっかり走れよ」と引き締めの言葉を受けたFWは、前向きな気持ちで攻守両面に渡って走り抜いた。

 また、試合を通して前線での巧みな身のこなし、ポストプレー。3回戦ではエンジンのかかりが遅かったという。だが、チームが勝ち切るために「最初から全力で行こう」と飛ばしたFWは、ライバル、憧れの先輩に負けないプレーでチームの2年連続4強進出の立て役者となった。

 特に大きかったのが、先制点だ。前半8分、丁寧なビルドアップを特長とする湘南工科大附高からショートカウンターで先制点。MF仲田堅信(2年)が相手MFにプレスを掛けてボールを下げさせると、小橋川はこのパスの乱れを逃さずに右足シュートをゴールに叩き込んだ。

 ここで1点を奪いきったことが、両チームの戦い方に大きな影響を及ぼした。中村監督は「相手にとっても次から繋ぐのは難しくなるような奪い方で、ウチとしては前から行ったら獲れるかもしれないと希望を持てた1点だった」と分析する。

 この1点で戦い方にブレが生じた相手に対し、米子北はハイプレスとブロックの守りを見事に使い分け、前半だけで計3得点。ショートカウンターからMF石倉亜連(2年)が決めたゴールと、縦パス1本から小橋川がアシストしたFW福田秀人(3年)のゴールで試合の大勢を決した。

 勝負の行方に大きな影響を及ぼした小橋川は、1年時の選手権全国大会で先発出場しているストライカー。両足からパンチのあるシュートを打ち込み、特に右足には絶対の自信を持っている。昨年のインターハイも2試合に出場しているが、延長戦決着となった決勝は出場機会を得られず。その決勝でも活躍した福田がU-17高校選抜に選出される中、自身の評価をなかなか上げることができなかった。

「福田が選抜に入って、秀人がエースみたいな感じで周りからも言われていて、『自分もいるぞ』というライバル心が強くなったと思います」。今季のプリンスリーグ中国の得点数は福田の半分以下の5得点。だが、ここへ来て福田に負けない貢献度、前線の柱と言えるプレーを見せ続けている。

 主将の左SB野田徹生(3年)も「(小橋川は)今大会は凄く張り切っていて、前からFWのリーダーとして引っ張っていってくれている。その背中を追ってみんなが勢いをつけていけているので、その分では凄く助かっています」と感謝。小橋川は、憧れの存在のような選手になりつつある。

 小橋川はヴィクサーレ沖縄FCジュニアユースの先輩で、2歳年上のFW崎山友太(現駒澤大)の後を追って米子北へ進学。現在、「崎山さんの身体の使い方というかターンが凄く巧くて間近で見ていたので盗んで」という先輩から学んだ身のこなしを前線で表現し、先輩同様の得点力を発揮している。

 1年前を超える日本一への勝負はここから。「(昨年は)個人としても凄く悔しい結果に終わっているんで、まずは明日(準決勝)しっかりと勝って決勝の舞台に立って、明日も、明後日も自分が結果を残して、チームを勝たせて……。日本一というのは掲げてずっとやっているので、そこは絶対に勝ちたいと思います」。チームのために走り、身体を張り、ゴールでチームを勝たせて真のエースになる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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