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[MOM3968]横浜FCユースDFヴァン・イヤーデン・ショーン(3年)_V候補鳥栖破った決勝弾&完封劇!! 世代別代表狙う193cmの熱き副将

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DFヴァン・イヤーデン・ショーン(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.30 クラブユース選手権 鳥栖U-18 0-1 横浜FCユース 前橋フA]

 ピッチ内外の大黒柱を担うDF池谷銀姿郎主将(3年)がラウンド16の退場によって出場停止——。危機に瀕していた横浜FCを救ったのは代役ゲームキャプテンを務めたDFヴァン・イヤーデン・ショーン(3年)だった。「次にキャプテンが帰ってこられるように自分がリーダーシップを発揮して絶対に勝ってやろうと思っていた」。有言実行の決勝ゴールと無失点。大車輪の活躍で横浜FCユースを史上初のベスト4に導いた。

 0-0で迎えた後半4分、ヴァン・イヤーデンはセットプレーの流れで攻撃参加し、右サイドに開いたMF永田滉太朗(2年)のクロスボールに飛び込むと、池谷の代わりに先発したDF林賢吾(2年)のフリックに合わせて反応。最後は胸トラップのような形で、ふわりと浮かせたシュートをGKの頭上に流し込んだ。

「クロスが入ってきて頭で合わせようとしたけど、林選手がそらしてくれて、軌道が変わって。頭には当たらなかったけど、胸に当たって気持ちで押し込んだ感じです」。並の選手であればヘディングで合わせる高さのボールだったが、193cmの体躯を活かした胸でのシュート。「自分デカイんで、頭で行くには高かったです」と笑顔で振り返った。

 守備では池谷不在の守備組織を統率し、今大会4度目のクリーンシートを牽引。鳥栖のポゼッションには声で味方を動かし、パワフルなロングスローやクロス攻勢には自らが動いて跳ね返し続けた。「味方を動かすこと、味方を鼓舞することは自分の強みでもある。そういうところでチームを引っ張れる存在になっていければ」。最終盤には池谷が見つめるベンチにも「もっと盛り上げろ」と煽り、代役キャプテンとは思えないリーダーシップを発揮した。

 ヴァン・イヤーデンの奮闘も実り、横浜FCユースは史上初の4強入りを達成。それも今大会の失点は池谷が退場したラウンド16札幌戦の終盤に献上したPKの1点のみと、全国の舞台で堅守が光っている。「崩されての失点は一つもない。運かもしれないけど、実力だと捉えられる固い守備ができている」。そう手応えを語る18歳は、この大会を自身の飛躍の舞台とする構えだ。

「今年の目標は世代別代表に選ばれて、トップ昇格すること」。世代別代表の一員としてU-17ワールドカップ予選にも出場した池谷は身近なライバル。「少し前を銀ちゃんが歩いていて、トップの練習に行く回数も多いので、チーム内の競争を激化させて、自分がもっと上に行けるようにというのがモチベーションになっている」。プレミアリーグでも「代表スタッフが来てるかなって毎試合確認している」と野心を隠さないヴァンイヤーデンは、その目標を実現させるため、さらに自身の武器を伸ばしていく必要があると考えている。

「自分の長所はヘディングなので、そこをもっともっと強みを伸ばしていけば弱みの部分も少しずつ上がってくると思う。強みをもっともっとこだわってやって、代表に入れるようにしていきたい」。恵まれた体格はオランダにルーツを持ち、カナダ国籍の父譲り。196cmの長身でアイスホッケーをプレーしていた父から受け継いだ体を、兄の影響で始めたサッカーの舞台で活かし、日の丸を背負うことを志す。

 8月1日に控える準決勝ではセレッソ大阪U-18との対戦が決定。プレミアリーグWESTでリーグ最多31得点を挙げている超攻撃的なチームとの対峙は、横浜FCの堅守の真価が問われることになる。それでもヴァン・イヤーデンは「楽しみですね」と不敵な笑み。「目標のベスト4を達成できて、あと優勝するしかない。次の試合もしっかり分析したり、消耗戦なので疲労を溜めずにいい準備したい」。目標のベスト4を達成しても、飛躍の夏はこれから。横浜FCのハイタワーが見据えるのは頂点だけだ。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】第46回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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