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[MOM3969]前橋育英GK雨野颯真(2年)_成長した2年生守護神、全国決勝で2つのビッグセーブ

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前半35+5分、前橋育英高GK雨野颯真が足でビッグセーブ

[7.30 インターハイ決勝 帝京高 0-1 前橋育英高 鳴門大塚]

 前橋育英高(群馬)は、インターハイ決勝の多くの時間帯で主導権を握っていた。シュート数は10-2。だが、許した2本のシュートは、いずれも決定的なシーンだった。

 前半31分、前橋育英は相手のカウンターからピンチを迎えた。サイドで相手のドリブルを止めきれず、ゴール前まで運ばれると、こぼれ球を帝京高MF山下凜(3年)のスライディングシュートに押し込まれそうになった。

 だが、咄嗟に距離を詰めたGK雨野颯真(2年=FC杉野Jrユース)が阻止。前橋育英は、前半40分にも帝京のロングカウンターからスルーパスを通された。だが、再び雨野がCB大田知輝(3年)との1対1を足でストップ。帝京はセットプレーも強みだが、184cmGKは強風の中で危ないシーンを作られることなく、先輩たちと守り続ける。

 攻撃陣がなかなか得点を奪えず、特に中学からの先輩FW高足善(3年)が迎えたあわやのシーンが2度、3度と外れ、苛立ちそうになることもあったという。それでも、「中学校の頃から大事な時に決めてくれる選手だと分かっていたので、最後まで信じながら。自分はゴールを守ることしかできないんですけれども、攻撃は善さんに全部任せるという感じでやっていました」。そして後半35+4分に高足が決勝点。1-0で優勝を決めるとヒーローインタビュー後に先輩FWとハイタッチしていた。

 MF徳永涼主将(3年)は登録唯一の2年生の成長を認める。「元々プレミア(リーグ)でもクリーンゲームがなくて、雨野自身も悩んでいたと思うんですけれども、ここに来て、(今日も)自分のミスも1点助かったところがあったので、凄く頼りになる存在になっています」と徳永。前橋育英は今季のプレミアリーグEASTの12試合で一度も無失点がなかった。

 その中には、弾き出すべきシュートでの失点も。雨野は「(リーグ戦の失点は)自分のせいだと思っていたり、DFラインのせいにされてしまうので改善しないと」と感じていたという。ただし、インターハイ開幕前最後のプレミアリーグ、柏U-18戦で1対1を止めるなど活躍した雨野は手応えを持って今大会に臨んでいた。

「自分の中でも手応えというのは感じていて、初戦と3回戦の2戦であまりボールが来なかったんですけれども、(準々決勝の)矢板中央戦で後半にちょっと自分たちのピンチがあって、自分が止めたんですけれども、決勝に行くまでに調子が上がって来れたので良かった」

 結果が出ていなかったことを気にするよりも、前向きに、またチームメートのために戦った。「ここに来ているからには、群馬に残っている人たちのためにもプレーしなければいけないと思っていたので、プレッシャーというより『やってやろう』という気持ちでした」。そして決勝では帝京のGK川瀬隼慎(2年)との2年生GK対決も1-0で勝利し、全5試合で1失点。06年早生まれでU-15代表候補歴を持つ守護神が、大会優秀選手にも選出される活躍で日本一に貢献した。


(取材・文 吉田太郎)
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