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[ACL]無抵抗の相手に鹿島選手は複雑、岩政「甘い試合」、小笠原「簡単じゃない」

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[5.7 ACL・GL・F組第5節 鹿島8-1クルンタイバンク カシマ]

 ほぼ無抵抗の相手に8-1のゴールラッシュ。単純に喜んでいいのか、それでも課題を探すべきなのか。あまりにも歯ごたえのない相手に、試合を終えた鹿島アントラーズの選手の反応もさまざまだった。
 最も厳しかったのは、前半19分に先制点を決めたDF岩政大樹。公式戦7試合ぶりの勝利にも「相手が違うし、自信にもならない。失点を含めて甘い試合をしてしまった」と硬い表情を崩さなかった。「試合全体でパスミスが多くて、球際も弱かった。こういうゲームでどれだけ厳しさを出せるかが大事。そういう意味で、このチームにはまだ甘さがある。その甘さのせいで、もっと得点を決められなかったことがどうなるか。これで(グループリーグ突破が)ダメにならないことを祈るだけです。ほとんど相手にモチベーションのない状況。それでこのぐらいのプレーしかできないのは問題」と一気にまくし立てた。
 対照的だったのは、1ゴールにセットプレーで4アシストを決めたMF小笠原満男。「格下の相手だったが?」という質問に「簡単じゃないですよ」と一喝。不満げな表情を隠さず、「前半が0-0、1-0だったら相手も元気だったはず。4点、5点と取ったから、どんどん相手も疲れて、やる気もなくなった。天皇杯で高校生と当たったって簡単ではないし、簡単なゲームなんてない」と、最低限の目標だった勝ち点3、そして大量ゴールに及第点を付けた。
 岩政の言葉は極端にしても、全体的には手放しで喜ぶわけにはいかない、といった感触だったようだ。後半5分の小笠原のゴールをアシストしたMF青木剛は「最近勝利がなかったということでは、結果として出たのはよかったと思う。でもJリーグはもっとレベルの高いチームばかり。気持ちを切り替えてJリーグでも勝てるようにしたい」と語った。
 ACLグループリーグF組は鹿島と北京国安(中国)が4節まで終えた段階で勝ち点9で並び、直接対決の成績でも1勝1敗(1得点1失点)と五分の状態。得失点差で鹿島が上回り、首位に立っていた。決勝トーナメント進出のためには、引き分けも許されない状況で、かつ1点でも得失点差を広げることが必要だった。2得点を決め、後半1分のゴールでは鹿島のアジアの大会での通算100ゴール目を記録したMF野沢拓也は「まず勝ち点3を取ること。その中で点を取れてよかった。最終戦も他のチームのことは気にせず、自分たちのことに集中して、アウェーでも勝ち点3を取りたい」と、21日のナムディン(ベトナム)戦に向け、決意を語った。
 Jリーグでは5試合勝利なし(3分2敗)と苦しい状況が続いている。11日にはアウェーでの清水戦を控え、この圧勝劇を巻き返しへのきっかけにしたい思いはある。MF本山雅志は「みんな球離れも早く、ボールを回せていた。何人か絡んで崩すことも、中から外への動きも、サイドチェンジも、いいところはたくさん出た。まあ、相手が相手だった部分はあるけど」と苦笑いしながらも「Jリーグの場合はもっと厳しい。ただ、いつもよりボールも動いていたと思うし、Jリーグの場合はもっと寄せも速いから、もっと判断のスピード、パススピードを速くすれば、うまくいくと思う」と力を込めた。
 開幕からの公式戦8連勝後、連戦の影響で勝利から見放されていた。実に28日ぶりの勝利。これが良薬となったか、あまり意味のないものだったか、そのすべては清水戦次第となる。

(取材・文 西山紘平)

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