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ロシアの司令塔アルシャフィン「バルセロナは僕の夢」

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 わずか2試合の出場でEURO2008のスター候補に躍り出たロシアのFWアンドレイ・アルシャフィン(27)。グループリーグ2試合は欧州予選で受けた退場処分の影響で出場停止だったが、グループリーグ最終戦となったスウェーデン戦では自らの1ゴールなどで2-0の快勝に導き、オランダとの準々決勝では圧巻の1得点1アシストを記録し、延長戦の末に優勝候補を3-1で撃破した。一躍、今大会の寵児として脚光を浴びるに至ったアルシャフィン。26日のスペインとの準決勝を前に、euro2008.comが直撃インタビューを行った。
以下、アルシャフィンとの一問一答

―ロシアはグループリーグでスペインに1-4と敗れたが、リベンジの意識はある?
「それはない。なぜなら僕はその試合に出場していないからだ。僕にとっては初めてのスペインとの試合だし、それ以上の意味はない。これは準決勝で、ひとつのミスで試合は決まる」

―グループリーグのスペイン戦はどこが悪かったのだろうか?
「戦術的な面でも個人の面でもミスを犯した。ダビド・ビジャやフェルナンド・トーレスに隙を見せれば、危険な目に遭うのは分かっている。彼らは簡単にDFとの1対1で勝利し、得点を決めていった。それがすべてだ」

―今度はどんな戦いを見せてくれる?
「ロシアはいつもどおりにプレーするだろう。我々は守備的なサッカーはしない。攻撃が好きだからね。しかし、それは自分たちのプレーだけで可能になるものではない。スペインがどう戦ってくるかも見てみないといけない。たぶんオープンな展開になれば、僕たちには難しい試合になるだろうね。なぜなら相手はカウンター攻撃がうまいし、スピードのある選手を抱えているから。でも僕たちは相手に合わせるのではなく、自分たちのサッカーに集中するべきだと思う」

―あなたは最初の2試合が出場停止だった。どんな思いでオーストリアに来たのか?
「この素晴らしい大会でプレーするチャンスが与えられることを望んでここに来た。僕にはこうした大会の経験がない。我々は厳しいトレーニングを重ねてきた。試合に出られないことが分かった上で、そういう練習をするのは大変だったよ。普段はないことだからね。でも、ヒディンク監督が、試合に出られない僕をここまで連れてきてくれて、チームの一員として認めてくれたことがうれしかったんだ」

―そして2試合の出場停止が明けて、第3戦からプレーしている。スウェーデン、オランダを相手にこれだけのプレーができると正直思っていた?
「僕はもっと良いプレーをしてきたことがたくさんある。チームが勝ったという意味でね。僕は特別なことは何もしていない。僕は時々ゴールを決め、時々アシストする。それがW杯だったりEUROだったり、多くの人が注目している試合だと、その影響が大きくなるというだけだと思う」

―あなたはゼニットを出たいということを明言した。あなたの夢はどのクラブでプレーすること?
「僕は人生においてバルセロナのファンなんだ。バルセロナは僕の夢だ。僕はバルサでプレーするチャンスがあるかもしれないなんて考えたこともなかった。状況を見守りたい。確かに今、僕は何も言うことはできない。僕はロシア代表の選手であり、準決勝でいいプレーをすること以外は考えていないんだ」

―ロシアにとってヒディンク監督の存在は?
「ロシアサッカー協会が2年前に彼を招聘する決断を下したことがすべてだった。でも彼がやっていることは、周りが見ているほど簡単な仕事じゃない。選手にとってEUROは特別な大会だ。彼は僕たちに自由を与え、信頼を寄せてくれている。だから僕らはいいプレーが見せられている。世界最高の監督のひとりと一緒に仕事ができるのは僕にとってもとても幸せなことで、彼のチームの一員でいられることをうれしく思っている」

―もし大会前に誰かがロシアは良い結果をおさめると言っていたら、それを信じることができた?
「正直に言って信じられなかったでしょうね。決して僕らが大会前の親善試合でいいサッカーをしていたとは言えない。でも人生において物事は目まぐるしく変化しているんだ。僕たちは今大会でおそらく最も強いチームだったオランダを倒した。それが大きな自信になるのは当然のことだと思う」

―あなたはこのチームのリーダーだと思う?
「僕は自分がリーダーであろうとなかろうと、タイトルのことは考えない。チームメイトを助けることが、自分自身を助けることにもなる。もし僕が仲間にこう動いてほしいと思っている通りに彼らが動いてくれたら、僕がプレーしやすくなるのは確かだ。でもそれは僕がリーダーだからではなくて、我々が勝つために必要なことだからだ」

(文 西山紘平)

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