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繰り返す"枝葉"のテスト、岡田監督が描く青写真

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 日本サッカー協会は29日、10月9日のキリンチャレンジカップ2008・UAE戦(東北電ス)、同15日のW杯アジア最終予選・ウズベキスタン戦(埼玉)に臨む日本代表メンバー26人を発表し、DF森重真人(大分)、FW岡崎慎司(清水)、FW興梠慎三(鹿島)、FW森島康仁(大分)の4人が初招集された。6日の最終予選初戦・バーレーン戦(3-2)のメンバーから負傷離脱中のGK西川周作(大分)、FW大黒将志(東京V)、FW田中達也(浦和)の3人のほか、DF水本裕貴(京都)と出場停止のMF松井大輔(サンテティエンヌ)も外れた。一方で、初招集4人以外にも、GK川島永嗣(川崎F)、MF青木剛(鹿島)、MF香川真司(C大阪)、FW大久保嘉人(神戸)が復帰した。

 岡田武史監督は今後の追加招集の可能性も示唆した。「今はケガをしているが、ウズベキスタン戦までに復帰できる可能性のある選手、まだ見極め切れていない選手がいる」。負傷離脱中の田中達、大黒、実戦復帰したばかりのDF寺田周平(川崎F)が念頭にあるのだろう。最終的には28~29人の大所帯になるが、UAE戦後にメンバーを絞り込む考えも明らかにしており、UAE戦とウズベキスタン戦を分けて考えているのは明白だ。UAE戦後に5人前後がふるい落とされ、ウズベキスタン戦には23人程度で臨むことになりそうだ。指揮官は「選考合宿ではない」と強調したが、初招集組、復帰組にとってUAE戦が重要なアピールの場になるのは間違いない。

 チームの根幹は固定した上で、“枝葉”の部分でテストを繰り返し、選手層の底上げを図る狙いが見える。バーレーン戦に続いて招集されたのは(同戦が出場停止だった大久保を含めると)19人いる。彼らが不動のメンバーで、そこにプラスアルファで加えるメンバーを試合ごとに入れ替えながら、岡田監督が言う「大枠」の中にいる選手にもチームのコンセプトを植え付け、必要な戦力かどうかを見極めていこうとしている。バーレーン戦の前にはウルグアイ戦(1-3)があったし、11月19日の最終予選第3戦・カタール戦の前にもシリア戦(11月13日、ホムスタ)が組み込まれた。「親善試合→本番」という流れで、新戦力の発掘とチーム力強化を同時並行で行っていくつもりなのだろう。今回の初招集組4人について「今調子のいいメンバー、手元でチャレンジさせたいメンバーを選んだ」と説明したように、確かに最近のJリーグで目覚ましい活躍を見せている選手の名前が並んだ。その時期、そのタイミングで好調な選手をピックアップして本番直前の合宿と親善試合でテストし、めどが立つなら最終予選にも連れていく。4大会連続のW杯出場へ、岡田監督がそんな青写真を描いているのが明確になった。

(取材・文 西山紘平)

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