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[AFC U-16選手権]U-16代表、UAEに6発大勝(現地レポート)

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[10.7 AFC U-16選手権グループリーグ第2戦 U-16日本代表 6-1 U-16UAE代表 ウズベキスタン]

 日本の決勝トーナメント進出をかけた一戦は、ジーコ監督が就任し、現在ACLベスト4に進出しているクルブチのホームスタジアム・MHSKスタジアムで行われた。すでに初戦を白星で飾っている日本は、この試合で勝てば、残り一戦を残して決勝トーナメント進出が決まる。世界の切符をかけた準々決勝の相手は、おそらくサウジアラビアかオーストラリアと強豪国だけに、より万全の状況で大一番を迎えるために、第3戦までもつれることは避けたい。それだけに日本にとっては大事な一戦となった。
 
 開始早々の7分、試合は早くも動く。中盤のポゼッションで主導権を握った日本は、左サイドのMF堀米勇輝(甲府ユース)からのスルーパスを、右サイドから走りこんだFW宮吉拓実(京都U-18)がダイレクトで豪快に右足を振り抜き、ゴール左隅へ突き刺した。
UAEとの力の差は明らかであった。その後も圧倒的に試合を支配すると、16分には、MF小林祐希(東京Vユース)、FW杉本健勇(C大阪U-18)、MF宇佐美貴史(G大阪ユース)、DF廣木雄磨(F東京U-18)が絡んだ見事なパスワークで左サイドを崩し、そこから得たスローインから、宇佐美が2人を交わしてセンタリング。これをファーサイドで受けた宮吉が冷静に沈め、リードを2点に広げた。
 日本は堀米、MF柴崎岳(青森山田高)のダブルボランチがチャレンジ&カバーで中盤を巧みにコントロール。両サイドバックのオーバーラップも引き出し、厚みのある攻撃を展開。UAEは完全に中盤が間延びし、日本のフレキシブルな攻撃に耐える時間が続いた。

 しかし、2-0で迎えた後半立ち上がりは、なぜか一気にトーンダウンしてしまった。確かにこのUAEであれば、2点のリードはセーフティーであったため、リスクを背負った攻撃は必要なかった。しかし、そこで受身になってしまい、反対にUAEの攻勢にあった。前半にはまったくなかったPA内への進入を何度も許してしまい、相手のフィニッシュの精度が低くなければ、失点する可能性があった。
 相手の拙攻にも助けられ、立ち上がり10分を凌ぐと、後半12分にカウンターから宮吉が3点目を決めて、ハットトリックを達成。これで完全に集中力の切れた相手に対し、日本は15分にゴール前の混戦からDF内田達也(G大阪ユース)が押し込んで4点目。さらに27分、43分と杉本が決めて、終わってみれば6-1の大勝で、決勝トーナメント進出を決めた。
 「6点取ったけど、まだまだツメが甘い。まだまだですね」と試合後、ハットトリックを決めた宮吉が語ったように、結果として大勝したが、後半立ち上がり10分のプレーが課題として残った。2点リードは決してセーフティーではないし、もしこれがサウジアラビアやオーストラリアだったらどうなっていたか。そう考えると、大勝によってかすんでしまいがちな、受身になってしまった時間帯をしっかりと課題として受け止め、次に生かさないといけない。受身になるのは決定的な3、4点目のあとでも良かったはず。
 初戦、第2戦と力の差を見せ付けての大勝での決勝トーナメント進出は確かに褒めないといけない。しかし、彼らの目的はグループリーグを突破することではなく、史上初の2大会連続の世界の切符を掴み、かつ2連覇を達成すること。本当の本番はこれから先にある。
 勝ってかぶとの緒を締めよ。このグループリーグが大事な決戦での慢心を生まないことを切に願う。

<写真>先制点を決めた宮吉(12番)を祝うチームメイト

(取材・文 安藤隆人)

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