beacon

持ち味発揮した新戦力、それでも決定力不足は変わらず

このエントリーをはてなブックマークに追加

[10.9 キリンチャレンジ杯 日本1-1UAE 東北電ス]

 持ち味は出し切った。A代表デビューとなったFW岡崎慎司(清水)とFW興梠慎三(鹿島)が岡田ジャパンの攻撃に新たな色を加えた。先発デビューとなった岡崎は高い位置からのチェイシングで相手の最終ラインからボランチまでプレッシャーをかけた。攻撃でも豊富な運動量で縦横無尽に動き、足元でボールを引き出し、スペースにも飛び込んだ。前半14分には中村俊輔のパスをPA内で受け、反転しながら左足でシュート。惜しくもミートせず、GKにキャッチされたが、前半の猛攻の陰には岡崎の献身的なプレーがあった。「守備とか見てもらっているから、そこはやらないといけないし、切り替えの早さも求められている。自分の良さをもっとチームメイトに伝えないといけないし、まだまだ」。本人は満足しきれない様子だったが、存在感は十分に発揮した。

 後半12分から途中出場した興梠もスピードに乗った突破でDFラインを翻弄した。「自分のプレーをした感じはある。仕掛けたりもできたし、最終的に結果は出なかったけど、チャンスはつくったと思う」と手応えをつかんだ。後半27分には大久保嘉人の右クロスを頭で合わせ、ゴールポストを直撃。そのこぼれ球が先制点につながり、「自分らしいっす。あそこで入らないのが」と苦笑いを浮かべた。

 あとはゴールという結果が欲しかった。シュート数15対4という数字が示すように試合は圧倒した。しかし、結果は1-1のドロー。チャンスをつくっても決め切れない“決定力不足病”を覆すには至らなかった。興梠がポスト直撃のシュートを悔やんだように、岡崎も「ゴールを決められれば…」と悔しさを隠さなかった。FWである以上、最後のゴールネットを揺らさない限りは、本当の意味でのアピールにはならない。彼らが最終予選の切り札になれるのか。この1試合だけでは、まだ分からなかった。

<写真>相手選手と競り合うFW岡崎
(取材・文 西山紘平)

TOP