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[ナビスコ杯]"カメナチオ"の勝利、大分・森重「一番いいときのサッカーができた」

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[11.1 ナビスコ杯決勝 大分2-0清水 国立]

 大分トリニータらしいサッカーで初タイトルを勝ち獲った。リーグ戦で30試合23失点と最少失点を誇る守備陣は決勝という大舞台でも危なげなかった。許したシュートは9本。特に先制し、反撃を受けた後半はわずか2本に封じた。シュートさえも許さない堅守。DF森重真人は「きょうは本当にいい守備ができて、そこからいい攻撃ができた。大分の一番いいときのサッカーが大一番でできた」と自画自賛した。イタリア語で「カギをかける」という意味の「カテナチオ」とチームマスコット「ニータン」のモチーフであるカメをかけて「カメナチオ」と呼ばれる大分のディフェンス。その名に恥じない鉄壁の守備だった。

 シャムスカ監督の徹底した分析の成果でもあった。「ミーティングでやった通りに相手は来たなという感じだった」と森重は言う。FW岡崎慎司とFW原一樹の2トップが縦関係をつくり、そこにトップ下のMF枝村匠馬が絡む攻撃のトライアングル。そこにしっかりマンツーマンで対応し、「相手が3トップ気味になるときはひとり落として(最終ラインを)4枚にする」。ピンチらしいピンチはセットプレーからがほとんどで、森重は「ミーティング通りに守れた」と胸を張った。

 相手を研究し尽くしたシャムスカ監督のゲームプランには定評がある。頭の中で描いていた通りに進む試合展開に大分の選手たちは驚きさえもしていた。清水が予想していたほど高い位置からプレッシャーをかけて来なかったこともある。DF深谷友基は「思ったより前から来なかったのでやりやすかった。相手が引きすぎていて中盤にスペースがあって、そこで(金崎)夢生に預けて前を向かせてもらえたのでリズムが出てきた」と指摘。「清水は慎重になっていた」とまで言った。

 「1点取ったら僕らも守る自信はあった」と深谷は言う。「今年の状態を見ていたらタイトルを取る自信はあったし、どこのチームとやっても僕らのサッカーは通じると信じてやっていた」。確固とした信念がチームにはある。時には守備的として批判されることもあるスタイルだが、それもサッカーのひとつ。タイトルという結果を出すことで、そのことを証明してみせた。

<写真>大分DFにしっかりと鍵をかけ、"カメナチオ"の中心を担った森重真人

(取材・文 西山紘平)

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