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勝ち点は少なくても…岩政「去年より強い」

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[12.6 J1第34節 札幌0-1鹿島 札幌ド]

 涙の優勝から1年。今度は安堵の優勝だった。「うれしい、というよりホッとしてます」。MF本山雅志はそう言って笑った。昨季は開幕5戦未勝利と最悪のスタートに始まり、終盤の9連勝で逆転Vを果たした。今季は開幕5連勝とスタートダッシュを飾りながら、ACL敗退など中盤に失速。最後は史上空前の大混戦を勝ち切った。喜びの種類は違っても、その価値は今季の方が高いだろう。DF岩政大樹は「達成感はあります」と充実感を漂わせた。「優勝チームとして今年挑んで、チーム自体がいいスタートを切ったこともあって、相手の試合の入り方も去年と違った」。ダークホース的な存在として浦和の足元をすくった感もあった昨シーズンと違い、ライバルから常にマークされる立場で勝ち点を積み上げた今季の戦いぶりは評価に値する。岩政は「勝ち点は去年より少ないけど(昨季は72、今季は63)、間違いなく去年より強い戦いができたと思う。強いという言葉でしか言い当てられない。去年、一昨年との違いを感じる強さだった」と言い切った。

 チームの成熟、たくましさがあった。DF伊野波雅彦の台頭やFW興梠慎三の成長。MF小笠原満男という大黒柱を負傷で欠きながら、MF中後雅喜、MF青木剛という次の世代の選手がしっかり穴を埋めた。若手、ベテランが程良く混ざり合い、チームが一丸となっていた。

 次なる目標はアジア、そして世界だ。岩政は「来年の目標?(リーグ)3連覇はもちろんしたいけど、アジアの規模もまた変わるし、そっちのタイトルを狙いたいなというのはある」と言い、DF新井場徹も「アジアにしろ、ナビスコにしろ、天皇杯にしろ、今のチームのポテンシャルならどれを狙ってもおかしくない」と力を込めた。今季のACLは準々決勝でアデレード・Uの前に敗退。そのリベンジが、第2次黄金期に入った鹿島アントラーズの使命となる。 

<写真>試合後、チームメイトのDF中田浩二と握手を交わすDF岩政
(取材・文 西山紘平)

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