beacon

[選手権]前育の"黄金のカルテット"が輝く、次は大迫勇封じだ(前橋育英vs國學院久我山)

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.5 第87回全国高校サッカー選手権大会準々決勝 前橋育英(群馬)1-0國學院久我山(東京B) 駒沢]

 前橋育英(群馬)が4試合連続完封勝利で01年度大会以来、7大会ぶりの4強進出を決めた。後半15分、草津入団が内定しているMF佐藤穣(3年)が今大会初ゴールを決め、國學院久我山(東京B)に1-0で勝った。10日の準決勝では鹿児島城西(鹿児島)と対戦する。

 2試合連続の7-1と圧倒的な攻撃力で勝ち上がってきた國學院久我山を完全にシャットアウトした。シュート数は25対5。スコアこそ1点差だったが、試合内容は大人と子供の差があるほどの完勝だった。

 前橋育英の誇る“黄金のカルテット”が輝きを放った。MF米田賢生主将(3年)、MF六平光成(3年)のダブルボランチは豊富な運動量で攻守に躍動。鋭い出足で相手のパスをインターセプトし、チャンスと見るやゴール前に飛び出した。右の佐藤、左のMF中美慶哉(2年)も、高いテクニックと突破力を存分に発揮。中盤の4人が流動的に動き、チャンスを量産した。

 前半6分、佐藤のスルーパスに六平が飛び出し、いきなり決定機をつくると、同13分には佐藤が中美とのワンツーからシュート。同19分にも六平の正確なフィードから中美が抜け出し、クロスバー直撃のシュートを放った。後半4分にも右サイドを突破した佐藤が中央に折り返し、米田がシュート。どこから、だれが飛び出してくるか分からない。厚みのある攻撃で國學院久我山を攻め立てた。

 シュートの正確性を欠き、0-0の状況が続いたが、「いつかは点が取れると思っていた」と言う佐藤がついに均衡を破る。後半15分、中盤でボールを持った六平が「(佐藤)穣が走っているのが見えた」と絶妙なスルーパスを送り、走り込んだ佐藤が軽やかなステップでDFをかわし、右足でゴールに流し込む。値千金の決勝点も中盤のコンビネーションから生まれた。

 これで4試合連続の完封勝利。山田耕介監督は「たまたまだと思います。前育は堅守じゃないですよ」と苦笑いしたが、プレッシングサッカーを支える出足の速さと球際の強さ、攻守の切り替えの速さは際立っていた。國學院久我山は3回戦でFW田邉草民(3年)、FW川久保理(3年)の2トップがそろってハットトリックを達成。しかし、山田監督が「中盤のゾーンでうちのプレッシングにはまればスピードに乗れない」と指摘したように、ゴール前の勝負に持ち込まれる一歩前で網をかけた。結局、川久保はシュート1本に終わり、田邉に至ってはシュート0本。六平は「うまくはめられた」と胸を張った。

 準々決勝までの4試合で奪った7得点のうち、6得点をMFが決めている(米田2、六平2、佐藤1、中美1)。「中盤は僕のキーワード」と山田監督。プレスの生命線であり、攻撃の最大の武器でもあるのだ。初の決勝進出が懸かる準決勝の相手は、超高校級ストライカー、FW大迫勇也(3年)を擁する鹿児島城西。前育の“黄金のカルテット”が大迫勇をも封じ込めるかのか。注目の一戦から目が離せない。

<写真>後半15分、前橋育英のMF佐藤穣(右から2人目)が先制点を決め、チームメイトと喜ぶ

(取材・文 西山紘平)

TOP