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[選手権]2度目出場で全国準V、鹿児島城西「胸張って鹿児島へ」(鹿児島城西vs広島皆実)

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[1.12 第87回全国高校サッカー選手権決勝 鹿児島城西(鹿児島) 2-3 広島皆実(広島) 国立]

 今大会を通じてのチーム得点数はこれまでの大会記録の24(帝京、81年度)を大きく上回る29。大会史上最強と評価された攻撃陣で優勝を目指した鹿児島城西(鹿児島)だったが、広島皆実の堅守の前に1点及ばず、初Vの夢は叶わなかった。

 前半20分にエース・大迫勇也(3年、鹿島加入内定)の6戦連発、1大会最多得点記録を更新(10点目)するゴールで先制した。だが、中盤でセカンドボールを拾えずに相手のサイド攻撃を受けた守備陣が23分、33分と失点。後半17分にFW野村章悟(3年)がこちらも6試合連続となる同点ゴールを決めたが、次の1点が奪えなかった。DF松井駿佑(3年)が相手シュートをゴールライン上で防ぐなど、守備陣は必死に抵抗したが、後半21分に失った3点目が最後まで重くのしかかった。
 
 主力を襲ったアクシデントが痛かった。熊本加入が内定しているMF大迫希(3年)が準々決勝(5日)で左ひざの内側を負傷。準決勝(10日)前日に復帰して決勝進出には貢献したが、決勝をフルに戦える状態ではなかった。この日も先発こそしたものの、「昨日(11日)足が攣っていて、全然動けなかった。インステップ(キック)で蹴ったら痛い」という大迫希を、小久保悟監督は前半終了とともにベンチへ下げることを判断。大迫希に「あとはみんなを信じろ」と交代を告げた。
 代わって投入されたMF平原慎也(2年)が野村の同点弾をアシストしたものの、セットプレーのキッカーも努めるチャンスメーカー不在が与えた影響は想像以上に大きかった。大迫勇が相手DF2人を引きずりながらチャンスメイクし、後半ロスタイムにはセットプレーでGK神園優(3年)まで前線に送り出して必死にゴールを狙ったが、3点目が奪えないまま試合終了の笛。イレブンはピッチに崩れ落ちた。

 大迫希は「最後まで出たかった。痛くても気持ちで引っ張らないといけなかった。でも3点目を取られた後もみんなあきらめずに頑張ってくれた」とチームメイトに感謝。6試合を戦い抜いたイレブンは、悔しさを表に出しながらも2回目の出場でつかんだ全国ファイナリストという成果を讃えあった。 
 涙で始まった試合後のロッカールームは「泣いても、もう試合はない。胸張って鹿児島に帰ろう」と笑顔で終了。鹿児島県勢では鹿児島実だけしか経験していなかった全国決勝の舞台に立った鹿児島城西は、この大きな経験を糧に、今年逃した“あと1勝”を目指して新たなスタートを切る。

(取材・文 吉田太郎)

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