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大学ナンバー1MF三門、課題乗り越え“一流”に

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 大学ナンバー1MFのJリーグへの、“一流”選手への挑戦のスタートだ。

 大学サッカー界屈指の強豪・流通経済大、そして全日本大学選抜で主将を務めたMF三門雄大(22)は07年6位、08年13位のアルビレックス新潟を進路に選んだ。関東大学リーグでMVPを受賞し、全日本大学選抜ではデンソーカップ日韓大学定期戦でもMVPを獲得。J数クラブが獲得を狙ったボランチには開幕スタメン、新人王と周囲の期待は高まるが「開幕スタメンで出られればそれは素晴らしいこと。でもそれだけではない。シーズンを通して、新潟のために1ゴールでも多く決めて、1ゴールでも多く絡めれば自分として納得のいく結果になると思う」と約1ヵ月後に迫ったプロとしての初のシーズンを見据えた。

 1月19日に新潟の練習がスタートしてから10日強。「気持ちよくチームに入れている。オフ明けの選手よりも体も動いているなと感じている」と話す三門だが、チームの練習は大学で経験したそれよりも遥かに判断力のスピードを求められるものだった。「複雑で頭をすごく使った練習内容、頭が疲れる内容ですね」。試合中、フリーでボールを触れる位置を常に見極めて誰より多くボールを触り、素早い攻守の切り替えから決定的なチャンスを作り出す頭脳派の三門でも驚くプロの世界。体感しているスピード、フィジカルも大学までに経験してきたものとは別の感覚のものだった。

 だが、試合に出てチームに貢献する為にはそのスピード、フィジカルの差を補わなければならない。そして圧倒的な運動量の多さなど、自分自身をアピールし、まずはポジション奪取に挑む。「(実戦練習などで)僕が入ってどんどんチームが良くなれば、(出場の)チャンスもできる。ただ、けがをしないことは重要なので、頑張りすぎずに頑張るというか、体のことも考えながら臨んでいきたい」。主将として“熱い”声で流経大を引っ張ってきた三門は、“冷静な”視線も持ってプロでの成功を狙う。
 「1年目に結果を出すこと。2年目にはさらに上の結果を出すこと」を目標に掲げる三門。1年ごとにステップアップしていき、相手にとってより「恐い」選手へ成長を遂げる意気込みだ。

 31日に行われた流通経済大サッカー部員のJリーグ入団報告会見で、同大の中野雄二監督は教え子たちに「活躍して日本代表の青いユニフォームを着てほしい。日本のサッカーを変えていってほしい」と夢を託した。今年を含めた最近3年間で20人以上のJリーガーを輩出している流経大だが、現日本代表に同大出身の選手はひとりもいない。それでも、Jリーグに大量に選手を供給している流経大はいずれ、日本代表においても最大の供給源となっていく可能性がある。
 今年1学年からJリーガー11人を生みだすという“快挙”を成し遂げた“スター軍団”流経大の中でも「チームの顔」と言える存在だった三門には、特にその期待が高まる。まだ遠い先にある目標。三門も「技術だけでなく、私生活の面でも一流にならないと日本代表になってはならないと思う」と言い切る。だが、その部分も含めて“一流”になることが三門の目指すところ。今年の新卒Jリーガー最注目MFの“一流”になるまでの奮闘ぶりに注目だ。

(取材・文 吉田太郎)

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