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秋田豊がファイナルマッチでハットトリック!!

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[2.1 秋田豊引退試合 鹿島レジェンド4-2磐田レジェンド 鹿島]

 カシマスタジアムに、鹿島最強の「3番」が帰ってきた。1日、雲一つない青空の下、カシマスタジアムでは秋田豊引退試合が行われ、鹿島アントラーズ・レジェンドスターズとジュビロ磐田・レジェンドスターズが対戦。試合には、両チームの黄金期を彩った名選手たちが揃い踏み。主役の秋田豊は代名詞のヘディングなどでハットトリックを見せ、鹿島レジェンドが4-2で勝利した。

 鹿島レジェンドの布陣は、4-4-2。GKは高桑大二朗。DFラインは右から名良橋晃、秋田豊、奥野僚右、相馬直樹が入り、90年代のJ最強4バックが復活。ボランチにはサントスと本田泰人、右MFに増田忠俊、左MFには石井正忠。トップは、黒崎久志とマジーニョが入った。そして、キャプテンマークは秋田が巻いた。
 磐田レジェンドは3-5-2。GKは大神友明。守備陣は右から渡辺一平、古賀琢磨、山西尊裕。中盤の底には福西崇史、名波浩。右翼に川口信男、左翼に三浦文丈、トップ下には藤田俊哉。中山雅史、高原直泰は前線を張った。こちらのゲームキャプテンは、長年のライバル中山が務めた。

 往年のスター選手の競演にファンは酔いしれた。秋田が中山や高原とマッチアップすればスタジアムはどよめき、走り込む相馬にサントスがパスを通すと会場はドッと沸いた。一方、磐田レジェンドは小気味よい動きを見せる藤田、名波、福西が起点となり、短いパスの連携やサイドから崩しにかかる。
 セットプレーから試合を動かしたのは、磐田レジェンドだった。前半22分、右サイドでFKを得ると名波がクロスを入れ、それを秋田と中山が競り合う。そこからこぼれた球を、最後は「手を抜いたり気を使うのは失礼だと思ったので、思い切りいきました」という高原がダイレクトボレーでゴール左隅に叩き込んだ。その後も、「今日は(秋田たちが)ガツガツ来るのを望んでいた」と語った中山が激しいハッスルプレーを見せ会場を盛り上げる。すると、中山の息遣いに呼応するかのように秋田も前半20分過ぎから、負けじと前線に顔を出した。
 前半28分、秋田がファーストシュートを放つ。その直後の左CKでは奥野がゴール前の秋田に合わせたが、ヘディングシュートは惜しくも不発に終わった。秋田の奮闘ぶりでリズムが良くなった鹿島レジェンドは、サイド攻撃からチャンスを作った。前半35分には右サイドから増田がクロス。飛び込んだ秋田がシュートするも、枠右をそれた。同36分、磐田レジェンドは中山に替えてFW松原良香を投入。鹿島も本田に替えてMF熊谷浩二を投入。しかし、どちらも得点をとるには至らず、前半を磐田の1点リードで終えた。

 後半、鹿島レジェンドは秋田、相馬を残しメンバーを大量に入れ替えた。GK曽ケ端準、DF池内友彦、DF金古聖司、DF岩政大樹、DF内藤就行、MF野沢拓也、FW長谷川祥之、FW深井正樹、FW鈴木隆行を投入。岩政、金古をCBに入れ、「鹿島ファンの前で、今日は絶対に点をとりたかった」という秋田は常に前線にポジションを置き得点を狙いにでた。
 対する磐田もGK佐藤洋平、DF大岩剛、DF田中誠、DF鈴木秀人、MF西紀寛、MF倉貫一毅を投入。磐田レジェンドは後半11分、名波からパスを受けた松原がゴールを決め0-2としたが、直後の後半13分にはGKをかわした深井がシュートを蹴り込み1-2とした。鹿島レジェンドはここから息を吹き返し反撃の狼煙をあげる。後半32分、ドリブルでPAに侵入した深井がMF西紀寛のファウルを誘い、PKを獲得。このPKのキッカーはもちろん秋田。シュートはGKに一度弾かれたもののその跳ね返りをねじ込んだ秋田が、鹿島ファンの前で念願の得点を決め、2-2とした。すると同33分には、PA左を抜けだした鈴木隆がニアサイドに走り込んだ秋田に送り、秋田は左足でキッチリと2点目を決めた。3-2と逆転に成功した鹿島レジェンドだったが、スタンドのサポーターからは「秋田は『足』じゃないんだよ。やはり『ヘディング』で決めないと!!」というリクエストが飛んだ。その要望に応えるべく、鹿島レジェンドは前線の秋田に集中的にクロスを入れる展開が続いた。
 その瞬間が訪れたのは後半43分だった。深井が左サイドから鋭いクロスボールを上げると、秋田は「待ってました」とばかりにジャンピングヘッド一閃。代名詞のヘディングシュートを叩き込み、秋田はファイナルマッチをハットトリックで飾った。Jで凌ぎを削ってきた両雄の戦いぶりに、試合終了後もスタジアムからは惜しみない拍手がやまなかった。

<写真>前半32分、1点目を叩き込んだ秋田豊

(取材・文 山口雄人)

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