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大迫が圧巻ミドルで2戦連発、「入るような感じがした」

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[2.21 PSM 鹿島4-0水戸 カシマ]

 今年最注目の大型ルーキーが大器の片りんを見せつけた。鹿島アントラーズのFW大迫勇也(18)が水戸とのプレシーズンマッチに後半開始から登場。本拠地・カシマスタジアム初見参に、地元サポーターから大歓声を浴びると、期待にたがわぬプレーを見せた。

 3-0で迎えた後半ロスタイム、ハーフウェーラインを少し越えた位置でボールを受けると、前を向いてそのままドリブルで持ち上がった。「(ボールを)持った瞬間、いけるかなと。縦に行こうと思ったら、カバーが入ったので、中に切れ込んだ」。右から左へボールを自分の足の後ろから通す鮮やかなフェイントとステップワークでDFをかわすと、目の前に広がったシュートコースを見逃さなかった。迷わず左足を振り抜いた弾丸ミドルがゴール左上に突き刺さる。「入るような感じがしたけど、まぐれなんで」。照れ笑いを浮かべた18歳の新人は試合後、MF本山雅志やDF岩政大樹らから「よかったぞ」と声をかけられ、「素直にうれしかった」とはにかんだ。

 圧巻の2戦連発だ。宮崎キャンプ最終日の13日にはホンダロックとの練習試合で2得点。JFLのホンダロック、J2の水戸と対戦相手の“格”が上がっても関係なかった。「(J2のチームは)高校とは全然違った。J1はもっとレベルが高いと思う。1日1日を頑張っていきたい」と謙虚に語ったが、相手のレベルが上がれば上がるほど、大迫がどう適応し、どんなプレーを見せてくれるのかという期待感さえある。

 課題も見えた。プレーしたのは後半の45分間だったが、ボールに触る回数は明らかに少なかった。運動量が少ないわけではないが、動き出しの質やタイミングが悪く、周囲と呼吸が合わなかった。本人も「もっとボールに絡んでいきたい。動きの質をどんどん上げて、周りとの連係をどんどん取っていきたい」と反省を忘れなかった。

 ただ、大迫が「どんどん要求して、顔を出して、動き出しを早くすればボールも出てくると思う」と言うように、時間が解決する問題でもある。こうした課題より、ボールを持ったときのワクワク感が大迫の魅力だろう。この日も逃げるようなプレーは見せず、必ず前を向いて勝負しようとしていた。DFがマークに付いていても、相手がひとりなら上手く体と腕を使って前を向き、果敢に1対1を仕掛けた。「自分がどのくらい通用するのかを今は知りたい。どんどん仕掛けようと思っていたし、仕掛ければ相手も怖いと思うから」。この物怖じしない性格とアグレッシブさがある限り、どこかでプロの壁にぶち当たったときも必ず乗り越えられるはずだ。

 28日にはG大阪とのゼロックススーパー杯、そして3月7日には浦和とのJ開幕戦を控えている。「メンバーに入るのが目標だけど、レベルの高いチームだし、厳しいと思う。日々の練習から意識を高く持ってやっていきたい」。大迫がどう成長していくのか。09年シーズン最大の楽しみと言っても過言ではない。

<写真>2戦連発となるゴールを決めたFW大迫勇也

(取材・文 西山紘平)

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