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見たか大迫!興梠が先輩の意地で全3得点を演出

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[2.28 ゼロックス杯 鹿島3-0G大阪 国立]

 前人未到のリーグ3連覇へ、鹿島アントラーズが絶好発進だ。天皇杯王者のG大阪に3-0で快勝し、まずは1冠目。09年シーズンの長い戦いの火ぶたを切ったのは、FW興梠慎三の左足だった。

 前半6分、MF野沢拓也の左CKをGK、DFと競り合ったDF岩政大樹が頭で落とすと、興梠が豪快な左足ボレーをゴールネットに突き刺した。チームにとっても09年公式戦の第1号ゴール。「ホッとしたのが正直なところ」と安堵の表情を浮かべた。

 浦和との開幕戦(3月7日)まで1週間。本人は「不調です」と、まだコンディションが上がり切っていないようだが、体のキレは抜群だった。急造3バックを敷いたG大阪のサイドに広がった広大なスペースに抜け目なく飛び出し、チャンスを量産した。

 「(G大阪のDFに)スピードがそんなにないのは分かっていたし、ボールを持ったら仕掛けようと思っていた。3バックはマンツーマンで来るけど、そのマンツーも厳しくなくて、結構前を向けた。裏に出してもらえれば追いつくし、やりやすかった」

 先制点につながったCKは、左サイドのスペースに飛び出した興梠がドリブルを仕掛けて獲得したもの。前半14分の2点目も、左サイドでボールを受けた興梠がDF新井場徹に落とし、FWマルキーニョスのゴールを呼び込んだ。さらに前半39分にはMFダニーロのスルーパスに抜け出し、PA内に進入。落ち着いてゴール前に折り返し、野沢の3点目をアシストした。

 背番号13の躍動する姿に、ベンチで戦況を見守っていたFW大迫勇也も「動き出しが速くて、マルキーニョスとのコンビもすごかった。自分が盗むことばかり。少しでも上手くなりたい」と驚嘆するしかなかった。

 ベンチには大迫のほか、FW田代有三、FW佐々木竜太と3人のFWが入っていた。大型ルーキーとして期待される大迫に対する注目度も高い。その中で全得点に絡む活躍でチームを勝利に導いた興梠には先輩としての意地もあった。「競争は激しいと思うし、今のポジションを取られないように頑張りたい」と話す言葉にはプライドがのぞいた。

 この2年、主力選手に大きな変動がなく、マンネリ感が生まれてもおかしくないが、実際の状況は正反対だ。DF内田篤人は「長い時間一緒にやっていて仲良しになるのもよくない。練習でもよく言い合いをしているし、ケンカするぐらいやってきている」と明かす。興梠も、大迫に刺激を受けるように結果を残した。チーム内に生まれる競争原理。それこそが、リーグ3連覇、ACL制覇への原動力になる。

<写真>アクロバティックなボレーで先制点を決めた鹿島FW興梠
(取材・文 西山紘平)

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