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王者に生まれた競争意識、ACLベンチ外の興梠が劇弾

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[3.22 J1第3節 鹿島2-1広島 カシマ]

 王者が完全によみがえった。鹿島アントラーズは劇的なロスタイム弾で公式戦2連勝。勝ち方も最高だった。

 1-1の後半ロスタイム、MF小笠原満男の左CKをDF岩政大樹が頭で落としたボールをFW興梠慎三が豪快な右足ボレーで蹴り込んだ。18日のACL上海申花戦(2-0)はベンチ外。この日も先発の座は新人FW大迫勇也に譲った。出番は後半27分から。その大迫に代わってピッチに入ると、最後の最後で大仕事をやってのけた。

 「(試合の)頭から出れないのは分かっていたし、切り替えて、試合に出たらチームのために頑張ろう、点を取ろうと思っていた。(信頼を)取り返すにはピッチの上で結果を出すしかないと思っていた」

 11日のACL水原三星戦(1-4)、15日の新潟戦(1-2)と公式戦2連敗を喫したことで、オリヴェイラ監督は上海申花戦で先発3人を入れ替えた。MF本山雅志をベンチに置き、興梠とDF新井場徹はベンチからも外す荒療治。その結果は、興梠に代わって先発した大迫の1ゴール1アシストの活躍で快勝だった。思い切った采配の効果は上海申花戦で連敗をストップさせたことだけにとどまらず、この日にも生きていた。

 小笠原は「1つのポイントは選手を替えたことかなと思う。誰が出るといいとかじゃなくて、みんなが危機感を持ってやれたと思うし、出た人には責任もあるんだと。(興梠)慎三も(上海申花戦で)外れたけど、戻ってきて結果を出した。よかったんじゃないかな」と言った。

 上海申花戦で負傷したMFダニーロに代わり先発した本山も先制点を決めるなど発奮。「みんな危機感を持ってやったと思うし、僕もそうだった」と“ショック療法”の効果を口にした。

 2連敗からの2連勝は、上海申花戦から先発起用されている大迫、DFパク・チュホ、小笠原の3人が好プレーを見せたからだけではない。先発から外された興梠、本山が奮起しただけでもない。チーム全体に危機感と競争意識が生まれたからに他ならない。

 興梠は「アピールになった?そんなことはない。こんなごっつぁんゴールじゃなくて、自分らしいプレーを見せたい。どんどん結果を残して、また頭から出られるように頑張りたい」と、安どの表情も見せずに気を引き締めていた。ほぼメンバーを固定してリーグ戦を連覇した鹿島。新たな血が加わり、競争意識をあおる好循環が、王者をさらに強くしそうだ。

<写真>劇的な決勝点を決めた鹿島FW興梠
(取材・文 西山紘平)

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