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"後半44分の男"、興梠が2戦連続劇弾

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[4.4 J1第4節 鹿島2-1京都 カシマ]

 まさに後半44分の男だ。1-1で迎えた試合終了間際、逆転へ猛攻を仕掛けた鹿島アントラーズの執念がFW興梠慎三の右足に宿ったかのように、ボールが引き寄せられた。右サイドから切れ込んだMF野沢拓也が左足で強烈なミドルシュート。GK水谷雄一がかろうじてはじくと、ボールは興梠の目の前にこぼれた。

 「広島戦と同じく、こぼれ球が転がってきた。落ち着いて決めれてよかった」。右足で蹴り込む劇的な決勝弾。前節3月22日の広島戦も、1-1の後半ロスタイムにCKをつないだボールを興梠が豪快ボレーで叩き込み、2-1で競り勝った。ピッチ上の光景は、2週間前のリプレーを見ているかのようだった。

 2試合連続となる“後半44分”の決勝ゴール。「(運を)持ってるとしか言いようがない。自分のポジションがいいんだと思いたい」と笑みが絶えなかった。

 この日もFWマルキーニョスと先発2トップを組んだのは18歳のFW大迫勇也。期待の新人FWも前線で体を張って奮闘していたが、チームの危機を救ったのは先輩FW2人だった。

 後半11分、MF本山雅志に代わって興梠がピッチに入ると、後半33分には大迫もFW佐々木竜太に交代した。すると後半39分、興梠の左クロスをファーサイドで受けた佐々木がワントラップから左足でゴールニアサイドにねじ込む同点ゴール。これでチームは勢いに乗り、興梠の勝ち越し点につなげた。

 大迫個人に対しては「そんなに深くは考えていない」(興梠)、「それぞれFWはタイプが違うから」(佐々木)と過剰に意識しているわけではない。ただ、サッカー選手であれば、誰でも先発で出たいのは当然のこと。「今は大迫が頭から出ているし、そこを超えないと先発で出られない」と興梠が言うように、大迫の存在がポジション争いを激しくしているのは間違いない。

 佐々木は「次はないと思ってピッチに入ったし、ホッとした。でも結果を出し続けないといけないし、一歩踏み出したという感じ」と言った。チーム内の熾烈な競争が生み出した劇的な2連勝。王者の勢いは止まりそうにない。

(取材・文 西山紘平)

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