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興梠&大迫の和製2トップが"手負い"の王者を救う

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[5.2 J1第9節 千葉0-2鹿島 フクアリ]

 平均年齢20歳の若き2トップが“手負い”の王者を救った。鹿島アントラーズは右内転筋痛のFWマルキーニョスが欠場し、過密日程で疲労の見えるDF内田篤人を“休養”させた。前線でコンビを組んだのはFW興梠慎三(22)とFW大迫勇也(18)の和製2トップ。大迫が体を張ったポストプレーで起点になれば、興梠も持ち前のスピードで守備陣を翻弄した。

 1-0の後半4分には2人コンビでPKを獲得した。PA内で大迫がDFボスナーを背負いながらボールをキープ。フォローに走り込んだ興梠にボールを預けると、興梠がDF青木良太に後方から引き倒された。このPKをMF小笠原満男が冷静に右足でゲット。あとは2-0のセーフティーリードを守り切るだけだった。

 前半途中に足を痛めたDF岩政大樹がハーフタイムに交代するアクシデントにも、急きょ投入されたDF伊野波雅彦がきっちり穴を埋めた。ACLとの過密日程の中、これで10試合連続無敗(8勝2分)。総力戦で乗り切った鹿島の勝負強さが光った試合だった。

 大迫が「鹿島はすごい人たちばかりなので」と言えば、興梠も「よかったです、勝って。マルキと(内田)篤人がいなくて負けたらゴタゴタなるし」と安堵のため息をついた。個々の能力の高さで千葉を上回っていたのも確かだが、選手層の厚さ、チームとしての完成度の高さが際立っていた。

 「だれかひとりに頼るサッカーをしているわけじゃないし、ひとり欠けたら勝てないチームじゃない」。小笠原はそう力を込めた。5日にはACLの大一番、水原三星(韓国)戦も控え、重要な試合は次から次へとやってくる。「きょうはマルキも篤人もいなかったけど、だれが出ても勝てるというのが大事。(先発から)一度外れたら簡単に戻れるわけじゃない。それは篤人でもマルキでもそう。競争しながらやっていきたい」。前人未踏の3連覇、ACLとの2冠を狙う王者に、付け入る隙は見当たらない。

(取材・文 西山紘平)

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